9割に界壁がない建物タイプも…レオパレス全棟調査
レオパレス21は1996年~2009年に施工したアパートの一部で建築基準法違反の疑いがある界壁不備が見つかったことをうけ、4月より実施しているアパート全棟調査の途中経過を6月26日に報告しました。
※8月3日追記:界壁の補修工事関連損失引当金を50億円計上するとの発表
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ゴールドネイル、ニューゴールドネイルは91%に界壁がない
レオパレス21が開発・販売した集合住宅「ゴールドネイル」および「ニューゴールドネイル」シリーズにおいて、調査済アパート185棟のうち屋根裏小屋裏全体で界壁がなかったアパートが169棟みつかり、91%のアパートに界壁がなかったことが判明しました。
同シリーズは今までに918棟施工されており、順次調査をすすめているとのことですが、91%の不備の割合をかけると不備があるアパートは839棟にもおよぶ試算となります。
ゴールドネイル、ニューゴールドネイル | |
---|---|
調査対象 | 918棟 |
調査着手済 | 185棟 |
調査進捗率 | 20.2% |
不備なし | 16棟 |
不備あり | 169棟 |
不備ありの割合 | 91.4% |
不備ありの想定件数 | 839棟 |
その他の対象アパート(6シリーズ)では32%に界壁不備
「ゴールドレジデンス」「ニューシルバーレジデンス」「ニューゴールドレジデンス」「スペシャルスチールレジデンス」「ベタースチールレジデンス」「コングラツィア」の6シリーズのアパートも優先調査の対象となっており、調査の結果711棟中、230棟に不備がみつかったとのことです。
界壁不備有りの割合は32.3%となり、この割合を全体の13791棟に当てはめると4461棟に界壁不備がある計算になります。
ただ、屋根裏小屋根裏全体で界壁がないアパートは8棟、バルコニー廊下軒裏の界壁なしが91棟、中間階天井裏の界壁なしが22棟、それ以外の隙間や配線穴等の不備が109棟となっており、ネイルシリーズよりは不備があるアパートの程度は低くなっています。
ゴールドレジデンスなどその他6シリーズ | |
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調査対象 | 13791棟 |
調査着手済 | 711棟 |
調査進捗率 | 5.2% |
不備なし | 336棟 |
不備あり | 230棟 |
不備ありの割合 | 32.3% |
不備ありの想定件数 | 4461棟 |
界壁不備の修復工事について
当初は不備があるのは『小屋裏の界壁のみ』としていたレオパレス21は、界壁の工事費用については1棟60万円と5月31日東京商工リサーチの取材に答えていました。
しかし6月4日に界壁不備は『小屋裏及び天井裏』と修正発表をしています。
天井裏を含む工事となると、工事費用が高くなると想定されます。
参考:一級建築士に聞いた!レオパレスの建築法違反の建物、具体的にどんな影響がある!?
レオパレス21はHP上のFAQで、工事費用だけではなく補修工事で継続して居住できない場合は入居者の解約時違約金、基本清掃費、原状回復費の免除、当社管理物件へ住替え時の初期費用の免除、住替えにかかる引っ越し費用も負担するとしています。
界壁不備があるアパートが最終的に何棟になるかはまだ想定の範囲をでませんが、上記の不備有りの割合をもとに算出した5300棟、工事費用を仮に1棟100万円とした場合、
5300棟 × 工事費用100万円 = 53億円
天井裏含めた大掛かりの工事となり入居者の引っ越し費用なども含め、1棟1000万円の費用とすると530億円の費用がかかる計算になります。
株主総会と2019月の業績計画について
アパート全棟調査の途中発表もあり、株価は年初来安値を更新し597円と600円を割り込む結果となりました。株価の下落がとまらない中、6月28日のレオパレス21の定時株主総会があります。アパートオーナーだけではなく、株主からも厳しい追及が想定されます。
2019年3月期の業績計画を売上高5530億円、純利益は150億円としていましたが、
工事費用はどの程度見積もるのか、下方修正があるのか注目があつまります。
8月3日に2019年3月期の業績下方修正を発表
レオパレス21は8月3日に、界壁不備にまつわる特別損失金を50億円計上し、当期の業績の下方修正を発表しました。
当社施工物件(アパート)の一部で判明した界壁施工不備に係る補修工事費用ならびに外部調査費用等の付帯費用の発生に備えるため、特別損失として補修工事関連損失引当金を50億円計上することにより、四半期純利益および当期純利益が前回発表予想を下回る見通しとなりました。
レオパレス21 特別損失の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ
この発表で、2019年3月期の業績計画は売上高5530億円、純利益は115億円と修正しています。
なお、50億円の特別損失金は7月22日時点の全棟調査進捗状況における不備の発生率等から損失負担見込額を見積りしているとのことで、今後の調査結果次第で変更となる可能性があります。
今後も引き続き、インベストオンライン編集部でレポートを続けます。
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