IT重説社会実験開始 遠隔地の売買もスムーズに?
国土交通省により、ITを活用した重要事項説明等に係る社会実験が10月1日より開始となりました。
「IT重説」の運用はすでに開始されていますが、個人を含む売買取引など、より活用の場を広げる試みがされています。
ITを活用した重要事項説明等に係る社会実験を10月1日より開始!/国土交通省
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IT重説とは
IT重説とは、宅地建物取引業法第35条に基づき宅地建物取引士が行う重要事項説明を、ITを活用して行うものです。
パソコンやテレビ等の端末を利用して、対面と同様に説明・質疑応答が行える双方向性のある環境が必要となります。
IT重説は「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」において、対面で行う重要事項説明と同様に取り扱うものと規定されています。
重要事項説明についてはこちらの記事で解説しています▼
IT重説のメリット
IT重説のメリットとして、国土交通省は下記をあげています。
遠隔地の顧客の移動や費用等の負担軽減
⇒子どもが進学や就職のため遠方で物件を探し、保護者が契約者として重説を受ける場合など、遠方の宅建業者を再度訪問し時間や交通費の負担が大きいという問題を軽減することができる。
重説実施の日程調整の幅の拡大
⇒仕事で平日に十分な時間が取れない、様々な理由により長時間家をあけることが難しい、などという場合にも日程調整の幅を広げることができる。
顧客がリラックスした環境下での重説実施
⇒不動産取引に不慣れであり、宅建業者の店舗で説明を受ける際に緊張してしまい、説明を受けても十分に理解できないなどというリスクを下げ、自宅などリラックスできる環境での重説が可能になる。
来店困難な場合でも本人への説明が可能
⇒ケガや病気、子育てや仕事の都合など、様々な理由により本人の外出が困難で、代理人等で対応せざるを得ないケースでも重説が可能になる。
社会実験の内容
社会実験を経て2017年10月より本格運用が開始されてきた賃貸取引におけるIT重説ですが、今回は不動産取引のオンライン化を推進するため、国土交通省は2019年7月より下記2点に係る社会実験の参加事業者を募集していました。
1.個人を含む売買取引におけるIT重説の社会実験
1つ目は個人を含む売買取引におけるITを活用した重要事項説明に係る社会実験です。
登録事業者は住友不動産、野村不動産アーバンネット、LIXILリアルティ、GAテクノロジーなど59の宅地建物取引業者が決定しています。
対象取引は個人を含む売買取引で、対象物件の制限は設けないとのことです。
実施期間:令和元年10月1日~令和2年9月30日までの1年間
社会実験の流れ▼
国土交通省「ITを活用した重要事項説明等に係る社会実験を10月1日より開始!」より
2.賃貸取引における重要事項説明書等の電磁的方法による交付
2つ目は賃貸取引における重要事項説明書等の電磁的方法による交付に係る社会実験です。
賃貸取引を対象とした、宅地建物取引業法35条及び第37条に規定する書面(重要事項説明書等)の電磁的方法による交付(電子書面交付)について実証を行います。
宅地建物取引士が説明の相手方に送付した電子書類が改ざんされていないことの確認など電子書面交付のプロセスや、説明の相手方の理解度等借主の利益の保護に関する分析等が実施されるとのことです。
登録事業者は住友不動産、LIXILリアルティ、Good不動産、アパマンショップリーシングなど113の宅地建物取引業者が決定しています。
実証期間:2019年10月1日~2019年12月31日までの3ヵ月
「サンドボックス制度」認定
2.の登録事業者は、「規制のサンドボックス制度」を活用して実験を実施します。
平成30年6月6日に施行された生産性向上特別措置法に基づき、新しい技術やビジネスモデルを用いた事業活動を促進するため、新技術等実証制度、いわゆる「規制のサンドボックス制度」が創設されました。
この制度は、参加者や期間を限定すること等により、既存の規制の適用を受けることなく、新しい技術等の実証を行うことができる環境を整えることで、迅速な実証を可能とするとともに、実証で得られた情報・資料を活用できるようにして、規制改革を推進する制度です。
これに基づき、113者の宅地建物取引業者が賃貸取引における書面の電子化に係る社会実験について認定申請をしており、令和元年9月20日(金)に国土交通省第1号認定案件として認定されました。
IT重説は今後普及していく?
現状IT重説の一般普及はまだまだこれからという印象を持ちますが、この社会実験により、より浸透していくことが期待できるのでしょうか。
物件売買や賃借人のスムーズな入居手続きなど、投資家にとっても役に立つ方向で普及していくことを期待したいものです。
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