不動産投資コラム

セーフティネット住宅のデメリット・対策とは?

セーフティネット住宅のデメリット・対策とは?

前回 は住宅セーフティネット制度のポイントと、不動産投資において物件を登録することのメリットについて詳しく見てきました。

第2回目の今回は、住宅セーフティ制度に登録するにあたって事前に知っておくべきデメリット講じておくべき対策について解説したいと思います。

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住宅セーフティネット制度に登録するデメリット

魅力的な登録制度ですが、全くデメリットがないというわけではありません。
以下の点については、事前によく理解した上で制度を利用することが重要です。

登録手続きに手間がかかる

住宅セーフティネット制度に物件を登録するためには、申請書のほかに、以下のような書類の提出が必要になります。

  • 付近見取り図
  • 配置図
  • 各階平面図
  • 建築確認済証
  • 耐震基準に適合していることが確認できる書類

このように、複数の書類を揃えて申請する必要があり、また物件によって書類も微妙に異なることから、手続きに手間がかかるというデメリットがあります。

ただ、この点については改善されつつあり、東京都の場合であれば2018年7月10日から電子申請が可能になったほか、同年10月15日から登録申請手数料についても無料になりましたので、デメリットについてはある程度緩和されたと考えてよいでしょう。

入居者属性に応じたトラブル対策が必要

住宅確保要配慮者については、一般的な賃貸物件の入居審査で断られることがある、特殊な属性であることに違いはありません。ここでは、よくあるトラブルについてまとめてみました。

高齢者:入居中の不慮の事故や孤独死により、資産価値が低下する可能性がある
低額所得者:家賃滞納を引き起こすことがある
外国人:言葉が通じなかったり、文化の違いによるトラブルが起きる可能性がある
障害者:日常生活に支障が出る可能性がある

このようなトラブルが予想されるため、住宅確保要配慮者の属性に応じて、適切な対策を講じる必要があります。

住宅セーフティネット活用にあたっての対策

登録制度を利用して住宅確保要配慮者を積極的に受け入れることは、これからの日本の社会事情を考えると適切な判断といえるでしょう。そこでここでは、トラブルを回避するための有効な対策について解説していきたいと思います。

高齢者・障害者対策

高齢者や障害者については、家賃滞納などについては保証会社を利用することでリスクヘッジすることが可能ですが、自宅で体調を崩した場合など、日常生活に支障が出てくるケースについては、保証会社ではカバーできません

そこで、高齢者や障害者を受け入れる際には「身元引受人」を親族の中から選出してもらい、本人の身体に何らかの問題が発生した場合に、積極的に支援するなどの約束を取り付けることが重要です。

身よりも親族もいない高齢者や障害者を引き受けることは、万が一の時に貸主が対応せざるを得なくなる可能性が高いため注意しましょう。

そのほか、高齢者や障害者でも安心して住めるよう、物件自体のバリアフリー化についても検討してみてはいかがでしょうか。

建物のバリアフリー化(スロープ)

低額所得者対策

低額所得者については、家賃滞納についてリスクヘッジをすることが最大の課題となります。
保証会社を利用することが可能であれば問題ありませんが、低額所得者の場合は保証会社の審査が通らないこともあるため注意しなければなりません。

そんな場合に利用したいのが、生活保護受給者の「代理納付制度」です。

生活保護受給者については、住宅扶助費が自治体から支給されるため、通常であれば家賃滞納は起きないはずです。ところが、支給された住宅扶助費を家賃の支払いに充てず、他の用途に消費してしまい、家賃滞納を引き起こしてしまうケースがよくあります。

そこで、事前に申請することで、住宅扶助費を自治体などから直接賃貸物件の貸主に対して振り込む「代理納付制度」を利用することができるのです。

代理納付制度を利用すれば、本人が生活保護受給者である間については、自治体などの実施機関から直接家賃が振込まれることになるため、家賃滞納のリスクは回避できるでしょう。

外国人対策


インバウンド外国人が増加傾向にあることを考えると、外国人対策は住宅セーフティネット制度に登録するかどうかに関わらず、今後重要な対策となることは間違いないでしょう。

外国人を入居者として受け入れる場合、最も懸念されるのが文化の違いによるさまざまなトラブルです。昨今では、外国人入居者が自宅でパーティーを開いて近所から騒音クレームが発生するというケースも発生しています。

そこで、外国人入居者を受け入れることを想定して、居室に英語や中国語に翻訳した生活マナーなどを記載した「入居者用パンフレット」を備え付けることが有効な対策となります。

すでに、インバウンド外国人の取り込みが激化している民泊業界では、外国語に翻訳したパンフレットは必須となっていますが、賃貸物件についても今後は同様の対策が必要となるでしょう。

また、賃貸借契約書などについても、重要な箇所について外国語に翻訳しておくと、契約に関するトラブルも回避できます。

大家にとって住宅セーフティネット制度は救いとなるか

国はセーフティネット制度の登録物件について、2020年までに17万5000戸を目標に掲げています。

セーフティネット住宅情報提供システムによると、2019年1月時点での総登録戸数については7208戸とまだまだ少ない状況ではありますが、今後日本が迎える超高齢化社会やインバウンド外国人の増加などから需要を考えると、将来的には登録物件数が増えてくる可能性はあるでしょう。

新築や築浅など、比較的入居者がつきやすい物件はあえて登録制度を利用する必要はないかもしれませんが、築20年以上経過した中古物件をお持ちの場合は、ほか物件との差別化という観点から登録制度を利用するメリットがあるといえるでしょう。

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棚田 健大郎
棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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