不動産投資コラム

ワンルーム投資で買ってはいけないマンションとは?

行政書士棚田 健大郎
ワンルーム投資で買ってはいけないマンションとは?

不動産投資で安定した収益を確保するには、そのための物件選びがとても大切です。

物件を選定する際には、築年数、専有面積、利回り、家賃などを気にする人が多いですが、実はもう1つ、あまり注目はされていないものの、実はとても重要な項目があります。

それは「修繕積立金」です。

不動産投資の中でも、今サラリーマン投資家に人気の「ワンルーム投資」をする際、修繕積立金は絶対におさえておかなければならないポイントになります。

そこで今回は、ワンルーム投資における修繕積立金の重要性と、買ってはいけないマンションの具体例について、2回にわけて解説します。

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そもそも修繕積立金って何?

修繕積立金とは、マンションを維持していくためにマンション全体で貯蓄している積立金のことです。

ワンルーム投資で購入するマンションは、「区分マンション」といい、1棟のマンションを部屋ごとに違う所有者が所有しています。

原則として、各部屋の設備については、所有者個人の負担で修繕しますが、エントランスや共用廊下、エレベータや外壁などについては、所有者全員で「修繕積立金」というお金を毎月出し合って貯蓄して、数年おきに必要になる大規模修繕の際の財源にするのです。

なぜ修繕積立金がワンルーム投資で重要なのか

修繕積立金は、毎月一定額が所有者の口座から引き落とされるため、不動産投資の利回りを計算する上で、利回りを決定づける重要な「経費」になります。

修繕積立金の金額は、マンションによって数倍以上違ってくることがあるため、物件を選定する際にきちんと確認しておかなければなりません。

入居者の家賃ばかりを気にする投資家がいますが、家賃が高くても、修繕積立金も高ければ、利回りが悪くなるため、手元に残るキャッシュフローは伸びないのです。

修繕積立金は売却価格にも影響する

修繕積立金が高いと、利回りが悪くなるだけではなく、将来的に売却する際の売却価格にも悪い影響を与えます。

投資用のワンルームマンションの売却価格については、物件の状態や設備のグレードなどよりも、年間の家賃収入から修繕積立金などの必要経費を控除した「実質利回り」をベースとして価格が決まってくるのが一般的です。

具体例で考えよう

売却希望価格:2,000万円

  • 家賃:85,000円
  • 修繕積立金:1,000円
  • 管理費:4,000円
  • 上記物件の月間収益は、単純計算すると80,000円ですので、年間収益は96万円となります。利回りを計算すると、

    96万円 ÷ 2,000万円 × 100 = 4.8%

    となり、ある程度の利回りが確保できるため、2,000万円でも売れるだろうと考えられます。

    ところが、同じ条件で修繕積立金が10,000円だった場合はどうなるのでしょうか。

    月間収益は71,000円ですので、年間収益は85.2万円となります。
    利回りを計算すると、

    85.2万円 ÷ 2000万円 × 100 = 4.26%

    となり、4%前半にまで落ち込んでしまうのです。

    同じ利回り水準にするためには、売却価格を1,750万円くらいまで下げなければならないことになります。

    投資用ワンルームマンションの買取を行っている不動産会社に聞いたところ、およそ修繕積立金が1,000円違うと、買取査定額が30~50万円程度違ってくるとのことでした。

    このように、修繕積立金の金額は売却価格にも直接的に影響してくるのです。

    修繕積立金の金額は、募集図面やインターネット広告などに掲載されていますので、よく見れば必ず記載されています。

    物件を選定する際には、毎月いくらの修繕積立金が必要になるのか必ず確認しましょう。

    修繕積立金は安ければいいの?

    修繕積立金は安ければいいの?
    修繕積立金の重要性については、ご理解いただけましたでしょうか。
    では、修繕積立金が安い物件を探せばよいのかというと、そんなに単純な問題ではありません。

    修繕積立金は値上がりする

    実は、修繕積立金は新築から常に一定の金額とは限りません。
    修繕積立金の金額は、所有者全員で組織している管理組合の総会で決議することで、随時金額を変更することが可能です。

    そして、ワンルーム物件の場合、ほとんどのケースで修繕積立金は新築時から値上がりしていく傾向にあります。そのため、現時点で単に修繕積立金が安い物件を選んでも、将来的に値上がりしてしまう可能性があるのです。

    修繕積立金はなぜ値上がりするのか

    修繕積立金が新築時から値上がりしていく一番の原因は、新築時の設定金額が低すぎるからです。

    新築した不動産会社が修繕積立金を低く設定して、毎月の出費を抑えることで、物件を売りやすくしているため、購入してから徐々に適正な金額に修正されていくことになります。

    よって、ワンルーム投資で購入する物件については、もともと修繕積立金が値上がりしていく性質であることを念頭に置くことが重要です。

    修繕積立金の相場とは

    では、修繕積立金はいくらくらいが相場と考えればよいのでしょうか。
    国土交通省のガイドラインによると、修繕積立金の平均値は以下のとおりです。

    参考
    建築延床面積ごとの㎡あたりの月額修繕積立金の平均値


    国土交通省 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の概要

    一般的なワンルーム投資であれば、15階建て5,000㎡未満のケースが多いため、218円をベースに考えます。

    例えば、20㎡のワンルームの場合、修繕積立金の目安は次のとおりです。

    218円 × 20㎡ = 4,360円

    これが、およそのワンルームマンション投資における修繕積立金の目安となります。

    ですが、投資用のワンルームマンションの場合、新築時に1,000円程度の低い修繕積立金を設定しているケースもあるため、購入時点の金額が低いからといって、そのままずっと低いままとは限らないのです。

    ここまでは、修繕積立金の基本的な知識と重要な部分について解説しました。
    ポイントをまとめると以下のとおりです。

    • 修繕積立金は毎月かかる重要な「経費」である
    • 修繕積立金が高いと「利回り」と「売却価格」が下がる
    • 修繕積立金は途中から「値上がり」する傾向である

    次章では、これらの知識を踏まえて、ワンルーム投資で成功するためには、修繕積立金をどのように捉えて物件選定をしたらよいのか、および、買ってはいけないマンションについて解説したいと思います。

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    棚田 健大郎

    行政書士

    棚田 健大郎

    行政書士

    大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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