不動産投資コラム

賃貸経営の繁忙期に大家が注意するべきこと5つ

宅地建物取引士廣田 裕司
賃貸経営の繁忙期に大家が注意するべきこと5つ

不動産業界では、1~3月は入退居が多く、“繁忙期”と言われています。

今回はその繁忙期について書いていきます。

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繁忙期中も需要の波がある

繁忙期といっても、不動産屋さんへの来店や問合せが、多くなったり、少なくなったり、需要が変化します。また、一般的には3月中旬には、需要が下がると言われています。

実際の繁忙期の需要動向は、その年ごとや地域によって違うため、不動産屋さんから、需要動向を定期的にヒアリングし把握するようにしましょう。
入居希望者の来店は、土日が多いので、木曜日、金曜日にヒアリングするのがいいと思います。特に、繁忙期終盤の需要が下がるタイミングを予測することが家賃戦略上重要になります。 

繁忙期の家賃戦略

繁忙期は入居希望者が多いため、高めの家賃設定でも決まると言われています。
しかし、入居希望者は、家賃と物件の価値を比較して、等しいか家賃の方が安いと判断されるときに、入居申し込みをします。

繁忙期だからという理由だけで、高い家賃で募集をするのは危険です。
物件のある地域の家賃相場や、自分の物件がどのような価値を提供できるのかを、考慮して家賃を設定することが基本です。
また、繁忙期終盤、需要が下がる時期には、家賃を下げるなど柔軟な対応も必要です。

家賃の発生日の調整

家賃発生日
推薦入試で、大学が決定している人などは、実際に引っ越しするのは3月下旬なのに、1月にお部屋を探されることがあります。

気に入った物件があり、1月中に入居申込をし、契約しようとすると、契約日(家賃発生日)は入居申込後2~3週間以内に設定するのが一般的なので、契約日が2月上旬となります。
引越しをするのは3月下旬なので、お部屋を使わない2月上旬から3月下旬までの間も家賃が発生します。また、必要ない期間に家賃が発生するなら、入居申込を撤回される方もいらっしゃいます。

このような入居希望者に対して、契約日の調整やフリーレントで、実際に住んでいない期間の家賃を軽減するような対応をすれば、入居につながります。
たとえば、契約日は2月1日でも、1ヵ月間のフリーレントを設定し、家賃は3月1日からとします。家賃が発生する日を調整することで、家賃収入はマイナスになりますが、早期に入居者さんを確保できるというメリットがあります。

入居可能日を明確に

繁忙期の入居者さんは、入学前の説明会や転勤先への着任などの日程が決まっているため、3月20日までに引越しを完了したいという、引越し日にリミットがある場合が多くなります。

一方、繁忙期の募集物件の情報には、入居可能日が「3月中旬」と幅をもたせている場合が多いです。引越し日にリミットのある入居希望者に対応するために、不動産屋さんは、管理会社へ入居可能日を確認しながら、物件を紹介していきます。

募集情報の入居可能日が「3月20日」というふうに、具体的な日付が明記されていれば、不動産屋さんも問合せの手間が省け、紹介しやすい物件になると思います。
入居可能日を具体的な日付で設定することは、この時期かなり難しいと思いますが、管理会社さんや業者さんと連携して入居可能日を明確にしていきましょう。

入居可能日

具体的には、通常1ヵ月前の退去連絡を受けた時点で原状回復工事のスケジュールを調整し、入居可能日を予定として設定します。
設定した入居可能日は、ネット広告やチラシなどの募集情報へ明記し、不動産屋さんにわかるようにします。

その後、退去立会いを行い、原状回復工事の内容が明確になった時点で日程を見直します。見直した時点で可能日に変更がある場合は、速やかに変更した日程を募集情報に掲載します。

設定した入居可能日が遅れた場合はトラブルになるので、慎重に設定するとともに、原状回復工事の進捗をフォローし入居可能日を確実に守れるようにしましょう。入居可能日は可能な限り、3月中がベターです。

問合せには即答

繁忙期に限ったことではありませんが、不動産屋さんから大家さんへの問合せに対し、早く結論を伝えることが重要です。

不動産屋さんの担当者が問合せするときは、入居希望者が目の前にいて、その物件を検討している場合が多く、問い合わせに対する結論が出ないと、他の物件を検討されてしまいます。
特に繁忙期は、忙しいのでこの傾向が強くなります。

不動産屋さんからの要望をすべて容認するのではなく、結論を即答することがポイントです(もちろん、即答できない問合せもありますが)。

問合せに対して即答できるように、家賃の値引き幅や入居条件等を想定しておくといいと思います。また、事前に、不動産屋さんの担当者に家賃の値引きの幅を伝え、担当者の裁量で値引きをできるようにしておくのも効果的です。

まとめ

繁忙期について書いてきましたが、繁忙期だから特別にやらなければいけないことは少なく、普段の空室時と同様に、対策を積み重ねていくことが大切だと思います。また、3月末までに入居者が決まらなくても、諦めず、行動し続けることが大切です。確かに、4月になると入居希望者は少なくなりますが、ゼロになる訳ではありません。

最後までお読みいただきありがとうございました。
2月には、確定申告も始まります。期限ギリギリで焦らないように準備を始めましょう。

不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは

廣田 裕司

宅地建物取引士

廣田 裕司

宅地建物取引士

賃貸経営での経験をベースにセミナー講師としても活動。2014年大家仲間と一緒に、管理会社「みまもルーム」設立に参加。大家さんの賃貸経営をサポートする会社 合同会社アップを設立。大家さんのサポート活動を展開中。

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