東京・大阪・名古屋・札幌・福岡…都市部の地価上昇
国土交通省は17日、今年の年4月1日~7月1日までの期間を調査した結果、主要都市の地価は95%の地区で上昇基調にあると発表しました。
主要都市100地区における地価動向は、
上昇が 95 地区(前回 91)
横ばいが5地区(前回9)
下落が0地区(前回0)
となり、上昇地区が全体の約9割(前回約9割)となっています。
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地価上昇の主な要因
・再開発事業の進捗により繁華性が向上
・訪日観光客による消費、宿泊需要が旺盛
・利便性の高い地域などでのマンション需要が堅調
上記の要因を背景に、オフィス、店舗、ホテル、 マンションなどに対する投資が引き続き堅調であるとされています。
上昇率の高い13地区
そのなかでも3-6%と高い上昇率がみられたのは13地区でした。
今回のレポートから13地区の特徴と将来にむけた動向部分をまとめました。
「~地価LOOKレポート~平成30年第2四半期」/国土交通省・地価動向地報告から一部を抜粋。
札幌市…駅前通
【地区の特徴】
札幌市営地下鉄南北線さっぽろ駅周辺。JR札幌駅の南側に位置し、駅前通りを中心として中高層の事務所ビルが建ち並ぶ高度商業地区。
【地価動向】
「大型オフィスビルの新規供給は当面なく、企業によるオフィス需要は今後も安定して見込まれ、当面は ホテル用地に対する強い需要も見込まれる。したがって、将来の地価動向は引き続き上昇傾向が続くと予想される。」
東京区部…渋谷
【地区の特徴】
JR山手線の渋谷駅周辺一帯。高層店舗付事務所ビルが建ち並ぶ高度商業地区。
【地価動向】
「将来は、再開発事業の進捗により街の機能更新や商業・オフィス集積度の向上、外縁部の開発事業との連動による原宿や代官山エリア間等の回遊性の向上、空港リムジンバスターミナルの新設によるインバウンド需要の増加等、当地区の更なる発展が期待されることから、将来の地価動向は上昇傾向が続くと予想される。」
東京区部…表参道
【地区の特徴】
東京メトロ千代田線の明治神宮前駅周辺。表参道の表通りを中心として中高層の店舗ビルが建ち並ぶ高度 商業地区。
【地価動向】
「当地区は東京五輪に向けて一段と注目が集まるエリアであり、こうした期待の中、取引市場及び賃貸市場ともに堅調に推移し、賃料水準は高位安定が続くと予想され、取引利回りは警戒感を持たれながらも低下し、将来の地価動向は上昇傾向が続くと予想される。」
横浜市…横浜駅西口
【地区の特徴】
JR東海道本線の横浜駅西口周辺。高層の店舗事務所ビルが建ち並ぶ高度商業地区。
【地価動向】
「今後、当分の間オフィス賃料の上昇傾向、空室率の低下傾向が継続し、投資適格性の高い物件に対する需要超過の状況や取引利回りの低下傾向も継続すると見込まれることから、将来の地価動向は上昇傾向と予想される。」
名古屋市…太閤口
【地区の特徴】
JR名古屋駅西側周辺。主要街路である椿町線沿線を中心として中高層の事務所ビル、店舗ビルが建ち並ぶ高度商業地区。
【地価動向】
「名古屋駅周辺の全体的な拠点性の強まりとともに、リニア中央新幹線の整備と名古屋市による当該整備事業と連携した街づくりによって、名古屋駅太閤口のポテンシャルの向上が見込まれ、当地区の不動産取得需要も強い状態が続く可能性が高い。そのため、将来の地価動向は引き続き上昇傾向が続くと予想される。」
名古屋市…伏見
【地区の特徴】
名古屋市営地下鉄鶴舞線の伏見駅周辺。中高層の事務所ビルが建ち並ぶ高度商業地区。
【地価動向】
「当地区のオフィス市況は引き続き堅調で、今後も空室率は低下傾向が続くと考えられる。 また、物件の供給が限られている中で収益物件やマンション開発素地に対する需要も見込まれることから、将来の地価動向は引き続き上昇すると予想される。」
名古屋市…金山
【地区の特徴】
JR東海道本線の金山駅(名古屋駅までJR快速利用で約4分)周辺。中高層の店舗兼事務所が建ち並ぶ商業地区。
【地価動向】
「今後も地域経済等の市況を支える要因が悪化しない限りにおいて、当面は当期の市況が続くと見込まれることから、将来の地価動向は上昇傾向が続くと予想される。」
大阪市…心斎橋
【地区の特徴】
大阪市営地下鉄御堂筋線の心斎橋駅周辺。御堂筋沿いを中心に、ブランド店舗等が集積し、高層の事務所 等も建ち並ぶ高度商業地区。
【地価動向】
「今後については、外国人観光客の消費行動の変化、混雑を避ける日本人観光客の減少等懸念される要因はあるものの、良好な資金調達環境を背景に積極的な投資が引き続き期待され、将来の地価動向も当面は上昇傾向が続くと予想される。」
大阪市…なんば
【地区の特徴】
大阪市営地下鉄御堂筋線なんば駅周辺の高層店舗兼事務所ビルが建ち並ぶ高度商業地区。
【地価動向】
「今後については、優良物件の供給が限定的であることによる市場の過熱感、外国人観光客による消費行動の変化等の懸念される要因はあるものの、良好な資金調達環境を背景に、積極的な投資は引き続き期待され、将来の地価動向も当面は上昇傾向が続くと予想される。」
大阪市…福島
【地区の特徴】
JR大阪環状線の福島駅からの徒歩圏。梅田地区までも徒歩移動可能な地域で、中高層事務所、マンション が建ち並ぶ住宅地区。
【地価動向】
「うめきた2期区域の基盤整備事業の進捗やJR大阪駅周辺開発事業の進展とともに、ホテルや商業施設用地としての需要も強まることが予想される。デベロッパー等のマンション開発素地に対する取得需要も強い状況が続くと見込まれ、将来の地価動向は上昇傾向が続くと予想される。」
神戸市…三宮駅前
【地区の特徴】
JR三ノ宮駅周辺。大型店舗、専門店が建ち並ぶ高度商業地区。
【地価動向】
「当地区における将来の発展に対する期待感の高まりのほか、他の都市と比較した割安感に着目したJ-REIT・ファンド等による積極的な投資姿勢等を背景に、将来の地価動向は上昇傾向が続くと予想される。」
福岡市…博多駅周辺
【地区の特徴】
JR博多駅周辺。博多駅博多口(西側)を中心として高層事務所ビルが建ち並ぶ商業地区。
【地価動向】
「当地区を含む福岡市中心部での地価上昇が続いていた結果、土地取得後の投資採算性が厳しくなっており、中心部での地価上昇幅は縮小しつつあることから、当地区においては稀少性によって将来の地価動向は上昇が続くものの、上昇幅は縮小すると予想される。」
熊本市…下通周辺
【地区の特徴】
JR鹿児島本線熊本駅から北東方へ約3km、市電通町筋駅(熊本駅前まで市電で約14分)の南側周辺。下通 アーケード街を中心として、小売店舗等が建ち並ぶ中心商業地区。
【地価動向】
「復興景気が持続するなか、水面下では画地の併合等の動きもある等、開発機運の高まりから総じて取引は活発化して取引価格の上昇が認められ、当地区の地価動向は上昇傾向にある。 ただし、人手不足が続いた企業の好況感はやや下降気味で、これまでの地価上昇の勢いに陰りが見えつつあることから、将来の地価動向は上昇が継続するものの、上昇幅は徐々に縮小していくと予想される。」
地区ごとの総合評価(変動率)推移
全国の調査対象となった地区は以下のとおりとなっています。
「~地価LOOKレポート~平成30年第2四半期」/国土交通省・地区毎の総合評価(変動率)推移
全国的に上昇基調となった地価ですが、今後、その地区のさまざまな要因によって変動していくことが考えられます。
不動産投資において、こうした地価動向も欠かせない検討材料の1つとなりますので、引き続き注目していきたいところです。
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