残債ありの築古物件。売却のタイミングはいつがよい?
築40年を超えるアパートを持っています。
家賃も少しずつ下がってきて、そろそろ売却も考えたいのですが、売るなら「いつ」がよいのでしょうか。
相場が高いうちに、とは思うのですが、借入もまだ残っていて、なかなか踏ん切りがつきません。
売り先(投資家か土地利用か)で好機は真逆。残債は売却益で完済できればいつでも売却可能。
1.いつ売るかは、誰に売るかによって異なる
売却のタイミングを聞かれると、多くの方が「相場が高いとき」と答えます。
しかし、相場が高いときがいつかが誰もわからないのが現状です。
築古物件の場合は、もう一段手前に大事な問いがあります。
それが「誰に売るのか」です。
なぜなら、売る相手によって価格の決まり方そのものが変わるからです。
築古の売り先は、大きく2つに分かれます。
ひとつは、建物を残したまま収益物件として投資家に売る「オーナーチェンジ」。
このときの価格は家賃と稼働率、つまり「いくら稼いでいる物件か」で決まります。
建物は壊しませんから、解体費もかからずその分の値引きもありません。
土地値があまり見込めない立地では、この出口が中心になります。
もうひとつは、土地として戸建分譲業者やマンションデベロッパーに売るケース。
こちらの価格は基本的に土地値で決まり、買い手にとって建物は解体する前提ですから、解体費の分だけ値引きされます。
立地が良く土地値がしっかり見込める場所では、この出口のほうが高く売れることもあります。
まずは、自分の物件が「建物で売る物件か、土地で売る物件か」を見極めることが第一歩です。
同じ物件でも、出口が違えばベストタイミングが正反対になることすらあるのです。
2.投資家に売却するなら
収益物件として投資家に売るなら、結論は「早めがよい」です。
理由は3つあります。
1つ目は、買い手の融資です。
投資家がローンを組めるかどうかは建物の残りの耐用年数で決まり、耐用年数を超えると融資が引きにくくなって、買い手が現金客に限られてしまう。買い手が減れば売りにくくなり、値段も下がります。
2つ目は稼働率で、満室で回っているうちが一番高く売れます。
3つ目は大規模修繕。「そろそろ外壁や屋上を」という状態になると、買い手はその修繕費を見越して値引きしてきます。
つまり空室が増えそうなとき、あるいは大規模修繕で多額の支出が見込まれるとき、その「前」が売り時ということです。
3.戸建分譲業者やマンションデベロッパーに売るなら
一方、土地として売る場合は考え方が一部逆になります。
急いで売却するよりも、じっくり戦略的に売却を検討していく方がよいです。
なぜなら満室であることがマイナスに働くことがあるからです。
解体して建て直したい買い手からすると、入居者がいると立退き交渉が必要になり、お金も時間もかかるのです。
だから空室が進んで「更地に近い」状態のほうが、土地としては売りやすいことが起こります。
将来、土地として売る出口を見据えているなら、普通借家ではなくあらかじめ定期借家契約などで募集しておくと、期間満了で明け渡してもらいやすく立退料を抑えられます。
4.借り入れはどう考える?
借金を完済していれば急ぐ必要はなく、地価や周辺の状況を見ながらベストタイミングを待てます。
しかし、借入が残っていると売却ができないのでしょうか?
売却して返済できれば借入金が残っていても売却は可能です。
大事なのは「売ったときに借金が残らないか」です。
売却したらいつでも繰上げ返済して完済できる状態になっていれば、売却は可能なのです。
いつでも繰り上げ返済して売却ができれば、焦らなくてもよいのです。
ベストな時期を見計らって売却すればよいのです。
「売れば借金が残らない状態」に早く近づけておくこと。それさえできていれば、辞め時はいつでも自分で選べます。
2026/08/21
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回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士