民法改正で敷金は返金することになったのは本当?
昨年から2020年の民法改正で、敷金は返金する扱いになるとうわさで聞いたのですが本当でしょうか?
間違いです。敷金について明文化されただけで、返金が原則になったわけではありません。
今回の民法改正で昨年から同様の噂が出回っていたため、誤解されている人も多いようです。
敷金については今回の民法改正で「賃貸借契約上の借主の債務の担保」であると定義が明文化されて明確になりましたが、だからといって返金が原則になったわけではありません。
敷金に関する改正のポイントをまとめてみました。
- 契約期間中における敷金と借主の債務を相殺する場合、貸主からの相殺はできるが借主からの相殺はできない
- 敷金は家賃滞納や借主が負担すべき修繕費のための担保である
- 賃料が増額した場合は、増額に伴って敷金を補填すること
- 退去時、借主に未払いなどがあった場合には、貸主は債務を差し引いた残額を返還する
- 敷金から債務を差し引く際には、その債務の額の内訳を明示すること
このように、基本的な運用は現在とほとんど同じで、民法に書いていなかったことを書くようにしたという感じの法改正です。
そのため、実務的な影響はほとんどないといってもよいでしょう。
貸主として注意すべき点は、敷金から原状回復費用などを差し引く場合、その内訳がわかるよう業者の見積書などを精算書と一緒に添付することです。
2020/05/02
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回答者棚田 健大郎
行政書士・マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・敷金診断士・ファイナンシャルプランナー