連帯保証人の極度額の表記は「賃料〇ヵ月分相当額」でよい?
民法改正で2019年4月から連帯保証人に「極度額」を設定する必要があると聞きました。
上限規定は今のところないとのことですが、金額を定めることが難しいので「賃料12ヵ月分相当額」といった表記でも問題ないのでしょうか?
極度額は金額ではっきり書かないと無効になる恐れがあります。
賃貸借契約の連帯保証人の極度額を決める際には、いくらに設定したらよいのか、検討もつかないという方もいるのではないでしょうか。
実際、今回のご相談のように妥当な金額がわからないことから、賃料を基準として考えて「賃料12ヵ月分相当額」といった表記を検討している方も少なくないようですが、実はこの表記、無効となる可能性が高いので注意が必要です。
極度額は確定している必要がある
連帯保証人の極度額については、あらかじめ連帯保証人に自分が負う金銭的な責任の限度額を知らせることがひとつの目的なので、金額を確定的に表記することが大前提です。
例えば、「100万円を上限として」と記載されていれば問題ありませんが、「賃料12ヵ月分相当額」と記載されていると、賃料も合わせて明記しておかないと確定的とは言えないため無効になる恐れがあります。
また、賃料を基準として表記すると、契約期間中に賃料が変動した場合の問題が生じます。
賃料を値上げしたら、極度額も値上げできるのか
極度額は契約時点において金額が確定的でなければなりません。
「賃料12ヵ月分相当額」と記載した場合、賃料の値上げに伴って極度額も増額できるとすると、そもそも極度額が確定的ではないということになってしまうため、連帯保証人との契約が無効になってしまう可能性があるのです。
実のところ、極度額の表記方法については、今後裁判などがあった際にどのように裁判所が判断するのかについてはっきりとわからないため、さまざまな議論がされています。
現時点において言えることは、「賃料12ヵ月分相当額」という表記をすると無効となるリスクを負ってしまうため、賃料が10万円であれば「120万円を上限として」と金額がはっきりわかるよう表記することをおすすめします。
2019/11/16
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回答者棚田 健大郎
行政書士・マンション管理士・宅地建物取引士・管理業務主任者・敷金診断士・ファイナンシャルプランナー