鎌倉・葉山はなぜ人気?地価が高い理由とは
東京の都心から電車でおよそ1時間。山と緑に囲まれた、リゾートとしても人気がある鎌倉・葉山。「新逗子駅」が「逗子・葉山駅」の駅名を変更することで話題となっていました。
この界隈は横浜の郊外に位置し、住むにも観光にも適した、別荘地としても人気の地域です。鎌倉や・葉山は高級地のイメージがありますが、同じ神奈川県でもお隣の横須賀・三浦市は地価が下落している傾向にあり、二極化しています。
そこで今回は、鎌倉の地価が高い理由をさぐっていきます。
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都心から1時間、別荘地としても人気の鎌倉
鎌倉は東京都心から近い別荘地として全国的に有名になりました。
明治に開通した横須賀線によって、東京から約1時間という程よいアクセスが実現したこともあり、のちに歴史的な人物となる政財界の重鎮や、著名な文化人がこぞって別荘を構えたのです。
文豪に愛された鎌倉
東京からのアクセスがよくなったことで、鎌倉には東京から多くの文学者が移住し執筆に励んだといいます。
鎌倉に居住していた文学者のことを指す「鎌倉文士」という言葉まで生まれました。
- 芥川龍之介(由比ヶ浜)
- 川端康成(二階堂、浄明寺、長谷)
- 立原正秋(大町、小町、扇ガ谷、梶原)
- 中原中也(扇ガ谷)
- 三島由紀夫
- 夏目漱石
自然豊かな鎌倉
鎌倉が別荘地として栄えた理由は、やはりなんと言っても山と海に囲まれた豊かな自然環境にあります。
春には満開の桜が見られる建長寺、鶴岡八幡宮、妙本寺、源氏山公園、葛原岡神社、秋には綺麗な紅葉が見られる長谷寺、円覚寺、東慶寺、浄智寺、明月院など、神社仏閣を中心とする観光名所がたくさんあるのが魅力です。
夏には由比ヶ浜海水浴場、七里ヶ浜海水浴場、材木座海水浴場、腰越海水浴場、稲村ヶ崎などの海水浴場がありヨットやサーフィンを楽しむ人もたくさんいます。
このように1年を通して、豊かな自然を満喫できるところが、鎌倉に人気が集まる理由です。
自治体が進める街づくり
鎌倉は、独特の歴史的風土を保存していくために、建築物の新築、増築をする際に別途規制が設けられています。
鎌倉市のホームページによると、市内のおよそ55.5%が「風致地区」に指定されており、建築物の高さ、建ぺい率、壁面後退距離、緑化率などについて、通常の都市計画の規制よりも厳しい規制がかかっているのです。
例えば、緑化率は20%と決められているため、敷地面積の20%以上に樹木や植栽が必要になります。
古都
政治や文化の中心として、歴史的に重要な地位を有する市町村のことを「古都」といい、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)」によって、一定の開発規制がされます。
現在では、京都市、奈良市、鎌倉市、逗子市、天理市、橿原市、桜井市、生駒郡斑鳩町、高市郡明日香村、大津市の10市1町村が指定されています。
鎌倉市の場合、市内の24.8%は「歴史的風土保存区域」に指定されており、うち14.5%の「歴史的風土特別保存地区」については、原則として建物の新築は許可されません。
そのため、鎌倉市内の一部の地域については、築年数の古い物件を建て直そうとしても、現在の規制のもとでは許可が下りないため、リフォームして住み続けるしかないというケースもあります。
厳しい規制により、新築物件があまり供給されないため、築年数が古い物件でも値崩れしにくいとも言われています。
人口推移もほぼ横ばい
鎌倉市の人口は比較的安定していて、平成17年から令和元年の現在に至るまで人口17万人台とほぼ横ばいで推移しています。
総人口が鎌倉市よりも多い横須賀市や、三浦半島の三浦市については、前年比で人口が減少傾向にあるにあることから考えると、同じ神奈川県でも、鎌倉市の不動産需要は今後もある程度安定していると考えてよいかもしれません。
インバウンド需要の拡大と課題
観光地としての鎌倉の知名度は、今や世界規模です。
年間2,000万人以上の観光客が訪れると言われており、近年ではアニメ「スラムダンク」の舞台となった聖地「鎌倉高校前1号踏切」を一目見ようと、台湾人や中国人観光客が押し寄せたことで、地元住民が江ノ電に乗車できなくなる「オーバーツーリズム」が社会問題化しました。
地元住民へ支障が生じないよう、乗降客が集中する鎌倉駅で入場規制を行い、事前に発行した証明書のある地元住民を優先的に乗車させるといった対策を講じたそうです。
インバウンド需要により、鎌倉市全体の経済活性化に繋がっていますが、一方でオーバーツーリズムの課題については今後もっと向き合って対策を考えていく必要があるでしょう。
鎌倉で狙うなら空き家
鎌倉は地価が高いため、不動産投資しようと思っても、築年数の割に高い物件が多く、投資するにはちょっと躊躇してしまいがちです。
今後鎌倉の物件に投資をするのであれば、「空き家」を狙うとよいかもしれません。
人口が横ばいの鎌倉市は、高齢化が進行しているため、今後相続によって誰も住まなくなった空き家が増えてくる可能性があります。
鎌倉市が2015年に実施した空き家実態調査によると、空き家(1年に1回以上の出入りがない)113戸、準空き家(週1〜年1回程度の使用や管理がされている)196戸、判定保留799戸と多くの空き家が確認されているのです。
相続によって使用されていない空き家は、所有者が処分に困っているケースも多いため、相場よりも安く購入できる可能性があります。
空き家を改装して民泊に転用できれば、インバウンド需要によって安定的な運用ができるかもしれません。
まとめ
鎌倉は歴史的風土や豊かな自然、そして都心までの好アクセスなど、都市部にはない魅力がたくさんあります。
風致地区ということで通常よりも厳しい規制はかかりますが、それによって鎌倉ブランドは守られているのです。
近年はインバウンド需要も拡大しているので、外国人観光客狙いで民泊投資をしても面白いでしょう。
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