不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

違法建築になっている不動産。相続税の評価は下がる?

違法建築になっている賃貸不動産を相続する場合、相続税の評価は下がるのでしょうか?
売却するにしても低い金額になるため、その減額分が相続税に反映されるのでしょうか?

違法建築でも原則は評価額そのまま。下がるのは一部のケースのみ。

相続税評価は財産評価基本通達に従って行われます。
建物の評価は、「家屋の固定資産税評価額×1.0」と定めるのみで、違法建築に対する特別な評価方法は規定されていません。

したがって原則として、違法建築であっても適法な建物と同様に評価され、特別に評価額が下がることはありません。

ただし、違法建築の内容によっては評価が変化する可能性があります。

(1)評価が下がる場合

◯再建築不可物件(接道義務違反で再建築できない土地)

土地の間口が道路に対して2メートル以上接していないと、接道義務違反で再建築ができない土地となります。

間口が短いため、間口狭小の補正によって減額されます。

さらに、接道義務を満たしていない土地は無道路地に準じた評価を行います。
無道路地として評価する際に控除する通路に相当する部分の価額を、通路拡幅のための費用相当額(正面路線価に通路拡幅地積を乗じた価額)として減額します。

(2)評価が上がる場合

◯建ぺい率・容積率オーバー

建ぺい率や容積率オーバーによる減額はありません。
むしろ法規制を超えて広い延床面積を有する建物は、その分固定資産税評価額が高くなり、適法な建物より評価額が高くなる可能性もあります。

ただし、すでに建物の固定資産税評価額に反映されていることが多いです。

(3)評価が変わらない場合

◯検査済証の無い物件や無許可増改築物件

これらは金融機関の融資が付きづらく、買い手が敬遠するため市場価格よりも低くなる傾向があります 。
しかし評価額は固定資産税評価による減額はないため、相続税評価も変わりません。

(4)まとめ

このように実際の市場価額と相続税評価額にギャップが生じることがあります。
不動産鑑定士の鑑定評価をつけて、正しい時価として申告する方法もありますが、過去の裁判例をみると認められないことが多いです。

今後使わない土地であれば、相続前に売却して現金化してしまうことも対策の一つかと考えます。

2025/10/03

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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