不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

繰上げ返済はした方がよい?

賃貸経営の借入金がまだまだ残っています。

繰り上げ返済は積極的にした方がよいのでしょうか?

繰り上げ返済の度に手数料が取られるのでどのタイミングでするべきかを悩んでいます。

繰上げ返済をした方がよいかですが、それぞれの判断はあると思います。
私の考えをお伝えします。

繰上返済には、返済期間を短縮する方法と返済期間を変えずに月々の返済額を減らす方法があります。

《繰上返済のメリット》

  • 繰上返済を行うことで、元本が減少し、残りの借入金額が少なくなります。
    その結果、支払う利息の金額も減少し、総返済額を削減することができます。
  • 繰上返済によって毎月の返済額を減らすことで、月々のキャッシュフローは改善されます。
  • 《繰上返済のデメリット》

  • 手元資金がなくなってしまうので、将来における予期せぬ出費や投資機会を逃すリスクがあります。
  • 手数料や違約金などのコストがかかる可能性があります。
  • 利息は経費になります。繰上返済によって支払利息が少なくなります。
    税率が高い人が繰上げ返済をすることで、税金が高くなります。
    繰上返済することによってキャッシュフローは改善されても税金が高くなって、効果が半減してしまうことが考えられます。
  • ⇒税金が上がる以上に支出が減るので、全く効果がないことはありませんが。

    上記を踏まえて、繰上返済はよほどのことがない限り、やる必要がないというのが私の考え方です。

    そもそも返済期間は、借り手がその期間までは、返さなくてもよいという権利です。
    貸し手は、その期間まで返済を待たなければいけないのです。
    返さなくてもよい権利を放棄してまでメリットがあるのが繰上げ返済するかの判断になります。

    (1)使い道がなく、ただ預金に置いてある場合

    預金利息がほとんどつかないので現状からすると、繰上げ返済するメリットはあります。
    ただし、低金利で借りている場合には、利息が減るメリットが薄いことになります。

    それであれば、利息以上の利回りの出る投資に資金を使った方がよいかもしれません。

    (2)精神的な不安をなくしたい

    借入があることで不安になる方もいらっしゃいます。
    繰上げ返済することで不安が軽減されるのであれば繰上げ返済してもよいと思います。

    繰上返済するべきではないのが、資金の使い道がある場合です。
    近い将来に修繕費の支出や不動産購入がある場合には、この資金に充てられるように手元に置いておきましょう。

    2025/01/10

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    渡邊 浩滋

    税理士・司法書士

    渡邊 浩滋

    税理士・司法書士

    経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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