不動産投資のQA

これって経費になるの、ならないの?確定申告する場合の項目はなに?そんな疑問に大家専門の税理士がお答えします。

相続時精算課税制度を利用する場合の注意点

令和6年から相続時精算課税制度による贈与を利用した方がよいと言われました。
何か注意点はありますか?

令和6年1月1日の相続時精算課税制度による贈与から110万円の控除が創設されました

年間110万円以内の相続時精算課税制度による贈与であれば、贈与税の申告もいらないし、相続直前7年前のものも相続税が課税されないことになります。

相続対策として有効なため、相続時精算課税制度の利用が増えると予想されます。

ただし、相続時精算課税制度は一度選択すると、撤回できないため慎重な判断が必要です。

注意点は次の通りです。

❶年齢要件は、1月1日時点で判定する
  
⇒親(祖父母)は1月1日時点で60歳以上であること。
⇒子(孫)は1月1日時点で18歳以上であること。

❷110万円以内の贈与であっても、適用する場合には『相続時精算課税選択届出書』の提出が必要

⇒翌年3月15日までに提出(遅れたらアウト)
⇒最初に適用する場合に1回提出すればよいことになります。

❸特定贈与者が2人であっても、控除できるのは合計で110万円のみ。

⇒父親、母親それぞれで相続時精算課税制度の利用は可能です。
⇒110万円の基礎控除はもらった人の合計で判定します。

(例)父から300万円、母から100万円の贈与
 
  ◯父贈与分の控除額
   110万円 × 300万円/400万円=82.5万円
  ◯母贈与分の控除額
   110万円 × 100万円/400万=27.5万円

❹贈与時時点の価額で相続税課税される

⇒評価が下がるものを贈与すると損をしてしまいます。

❺土地を贈与でもらった場合には小規模宅地の減額が使えない。

⇒事業用、居住用、賃貸用で利用している土地を相続又は遺贈で取得し、一定の要件を満たせば80%減額(賃貸は50%減額)できる特例があります。
贈与で取得したものは対象になりません。

令和6年以降の相続対策はいかに生前贈与を上手く利用するかが重要になってきます。

相続人が複数いる場合に、偏った贈与は揉める原因にもなってしまいます。
専門家に相談しながら贈与するようにしましょう。

2024/03/01

東京圏人口一極集中さらに加速…不動産投資は、立地で決まる。解説本無料プレゼント

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

記事一覧