課税売上がアパートに併設する駐車場のみ。インボイス対応どうする?
アパート1棟を所有している大家です。
課税売上はアパートに併設している駐車場のみで、年間150万円程度の売上のため免税事業者になっています。
インボイス制度が始まった場合に、課税事業者となってインボイス登録した方がよいのでしょうか?
駐車場代をアパートの家賃に含めてしまうことは可能でしょうか?
インボイス制度が始まると、免税事業者のままでいるとインボイス登録事業者になれないことから駐車場代を払う借主が、仕入税額控除ができなくなり消費税の負担を強いられることになります。
インボイス制度が始まっても経過措置の期間は免税事業者からの仕入れでも一定割合の仕入税額控除ができます。
●令和8年10月1日~令和11年9月30日⇒50%控除
免税事業者のまま、仕入税額控除ができない部分に相当する金額を価格の値引きすることで、借主の負担がないように交渉できる余地はあります。
しかし、駐車場の台数が多いと一人に交渉することは手間がかかり交渉ができた借主とできない借主がいた場合、契約管理が煩雑となってしまうことも予想されます。
また、上記の交渉は駐車場を借りる方が課税事業者(原則課税)であれば有効な方法です。
しかし駐車場は住宅用の入居者が借りていることも多く、免税事業者で借りている方が多いのかと思います。
借主が免税事業者であれば仕入税額控除は何も影響しないことになります。
免税事業者であっても、オーナーがインボイス登録しているかどうかは確認すればわかってしまい消費税分の値下げを要求されることも考えられます。
インボイス登録して、課税事業者(簡易課税制度を適用)になったところで、課税売上150万円(税抜き)であれば、15万円消費税を受け取り、納税する消費税は9万円になります。
消費税を取らないと15万円が受け取れないことになります。
つまり差額6円です。
消費税申告の手間や、税理士に依頼する場合の費用を考えると、どちらも差がないように思います。
そうであれば、インボイス登録せず免税事業者を維持し消費税をもらわないという判断でもよいと考えます。
なお、駐車場の賃料を家賃に含めることで、駐車場代を非課税にすることができる場合があります。
次のすべての要件を満たす必要がります。
自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられる等で家賃とは別に駐車場使用料を収受していない。
しかし、駐車場を非課税にしても借主は仕入税額控除ができないことには変わりがありません。
免税事業者のまま駐車場の消費税を取らないということと同じ効果になるため有効な手段ではないように思います。
2023/01/27
不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは
回答者渡邊 浩滋
税理士・司法書士