不動産投資コラム

所有物件は自主管理できる?作業内容とポイント

行政書士棚田 健大郎
所有物件は自主管理できる?作業内容とポイント

不動産投資で利益を上げる1つの手法として自主管理という方法があります。

自主管理をすれば管理費というランニングコストが削減できることから、一度くらい検討したことがあるという人は多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、自主管理をすると具体的にどのような作業が発生するのか、どんな人が自主管理に向いているのかなどについて解説したいと思います。

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自主管理とは何か

自主管理とは賃貸管理を不動産業者に委託せずに、自分自身ですべて行うことをいいます。

不動産投資で物件を購入すると、賃貸経営の実務の部分については不動産業者に管理委託するケースが多いですが、そこをあえて自主管理にすることで管理費というランニングコストを削減できる点がメリットです。

例えば、ワンルーム投資物件を5戸保有していたとした場合、管理費の相場はおよそ家賃の5%なので家賃が8万円とすると1戸あたり4,000円の管理費が毎月かかることになります。

4,000円×10戸=4万円
4万円×12ヵ月=48万円

このように計算すると年間で48万円もの経費がかかっていることになるのです。
自主管理をすることで48万円のコストを完全にカットできるので、実質的に収益が大幅にアップすることになります。

家賃を4,000円アップすることはほぼ不可能ですが、自主管理をすれば一気に手取り額を増やして収支を改善できるのです。

収益アップ

自主管理で投資家がやること

自主管理について興味が出てきたところで、実際にやらなければならない作業について詳しく解説します。まず業務ごとにみてみると、以下の通りです。

賃料の徴収

管理委託している場合は、管理会社が賃借人から家賃を徴収して送金してくれますが、自主管理をすると自分自身で家賃を徴収する必要があります。
最近は手渡しで家賃を受領するケースは少なく、ほとんどのケースで口座振り込みです。

重要なことは毎月必ず通帳記帳をすることです。

管理委託していれば家賃滞納が発生すれば管理会社から報告があるのですぐに気が付きますが、自主管理の場合は通帳記帳をせずにほったらかしにしていると、気が付いた時には数ヵ月滞納しているというケースもあります。

自主管理をする場合は、できるだけスマホアプリで入出金を確認できるように設定しておくことがおすすめです。

トラブルの窓口になる

自主管理になると一番大変なのがトラブル対応です。

トラブル対応

管理委託をしている場合は、重要事項説明書の管理委託先に管理会社の電話番号が書かれるので、管理会社が窓口となって対応してくれますが、自主管理になると投資家自身の携帯電話番号などを記載することになります。

自宅の番号でも問題はありませんが、水漏れなどのトラブルの際はすぐに連絡がつかないと被害が拡大する可能性もあるので、自主管理をする場合は携帯電話の番号を伝えておく必要があるでしょう。

実はこの部分が自主管理で一番のネックになります。

戸数が1戸くらいであれば何とかなります。しかし、複数物件を保有するようになると、専業大家であればよいのですが、サラリーマン投資家の場合は日中、仕事中に水漏れや雨漏り、騒音の苦情などの電話がかかってくるので非常に大変です。

賃借人からすれば、大家が専業か兼業かは関係ありませんから連絡があったらすぐに対応しなければなりません。

鍵の保管

物件の鍵を保管すること自体はそこまで大変ではありませんが、問題なのは鍵の貸し出しです。
賃借人が入居中に鍵を紛失した場合は、保管している鍵を一時的に貸し出す必要性が出てくることがあります。

管理委託していれば管理会社で貸し出してもらえば済む話ですが、自主管理の場合は自分の自宅まで取りに来てもらうことになるので非常に不便です。
遠隔地の物件に投資している人については物理的に不可能になるでしょう。

このようなケースでは、すぐに鍵業者を手配して交換するなどの対処が必要になります。

退去立ち合い・敷金精算

敷金精算

賃借人が退去する際には、退去立ち合いをしたうえで預かっている敷金を精算する必要があります。
管理委託していると管理会社の担当者が立ち会ってくれますが、自主管理の場合は自分で立ち会うことになります。

敷金精算をするには条例など、必要な知識をある程度理解していなければならないので、まったくの初心者では実質的に立会は無理です。
退去立ち合いは必須ではありませんが、立ち合いしなかったり、不慣れな状態で立ち合いをしたりすると、敷金を全額返金しなければならなくなるケースがよくあります。

自主管理は可能か?チェックポイント

このように自主管理をすると収支はよくなりますが、その分多くの作業が発生するので安易に管理委託を解除して自主管理にすることはあまりおすすめではありません。

まずは自分自身が次の条件にいくつ該当するかチェックしてみましょう。

  • 日中や土日の連絡がつきやすい
  • 保有戸数が10戸以下
  • 内装業者にコネクションがある
  • 不動産業界経験者
  • 交渉ごとが得意
  • トラブルの仲裁ができる

これらのチェックポイントに複数該当する方は、自主管理に切り替えても支障なく賃貸経営ができる可能性がありますが、1つも該当しない方は管理委託を利用したほうがよいでしょう。

まとめ

自主管理に切り替えると見た目上の収支はすぐに改善しますが、自分でやらなければならないことが思っている以上に増えることを含め慎重に判断する必要があります。

自分自身の労働力もタダではありませんので、費用対効果を考えることがとても大切です。

不動産投資は、立地で決まる。人口動向や賃貸需要に合わせた「新築一棟投資法」とは

棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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