界壁 [かいへき]

界壁とは、マンションやアパートなどの各住戸を仕切るための壁のことです。

1つの建物のなかに複数の世帯が入居し生活を送ることから、界壁には遮音及び耐火または防火構造が求められ建築基準法に則った施工が必要になります。

界壁に求められる性能

界壁は天井裏まで区切られており、それによって遮音性能や防火性能を発揮します。

遮音性能

建築基準法では、以下のように最低限守らなければならない遮音能力の数値を設けています。

  • 振動数が125Hzの時、透過損失が25dB
  • 振動数が500Hzの時、透過損失が40dB
  • 振動数が2,000Hzの時、透過損失が50dB

ただし、これらは最低限の数値であり隣家の生活音が漏れてくる程度であることから、実際の施工ではより高水準な遮音性を持たせる必要があります。

防火性能

集合住宅で火災が起きた場合、燃え広がりを現場内である程度おさえることで延焼を防ぐ必要があります。

そのため、界壁は耐火構造あるいは準耐火構造にしておく必要があります。

耐火構造:火の高温にさらされながらも、構造上ある程度耐えうる強度を持つもの

準耐火構造:火の高温にさらされた時、すぐには構造上の耐久力を失わないもの

「構造上の耐久力」とは火の高温による変形や熔解、折損がすぐさま起こらないことを意味しています。

このように火災のリスクに備え、界壁には一定程度の耐久力が求められるのです。

界壁

界壁施工はチェックを受ける

建物において界壁は非常に重要な機能を備えていることから、建築確認申請の際にもチェックを受けることになります。

工事の過程で中間検査や完了検査が行われますがその都度、界壁の状態が確認されます。

万が一、建築物に設けられた界壁が不十分だった場合は追加工事を行うことも可能ですが、界壁の両側にある部屋において、内装を十分に保護した上で天井を開ける等の複雑な工程をこなさなければなりません。

所有者が自ら界壁確認を行う方法

施工業者に写真撮影を依頼するまたは、所有者自らが目視し撮影する方法があります。

あらかじめ業者に対し、界壁工事を行う際に立ち会って写真撮影したい旨を伝えておくことで、自らの眼で確認し写真として現状を残すことが可能です。

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監修:棚田 健大郎