減価償却 [げんかしょうきゃく]

減価償却とは、固定資産を買ったときの費用の計上(経費化)の仕方です。
固定資産とは、消耗品とは違い、ある程度長い期間所有する資産のことで、自然劣化などにより年々資産としての価値が減っていくものを減価償却資産(げんかしょうきゃくしさん)といいます。

不動産投資の場合でいうと、建物部分は年数によって価値が下がるため減価償却資産となりますが、年数が経っても価値が下がらない土地部分については、減価償却資産には入りません。
よって、不動産投資における減価償却でポイントとなるのは、アパートやマンションなどの建物部分です。

減価償却の考え方

減価償却の計算方法は、買ったときに一括で費用を計上するのではなく、購入後使っていくと思われる年数にわたって計上してゆく、というものです。
仮に減価償却ではなく、買ったときに一括で経費化できるとすると、購入した年は大赤字となり、翌年から極端な黒字が続くという非常にバランスの悪い状態になってしまいます。

そこで減価償却を用いた場合、1,000万円の建物を買って、20年にわたって使うとすると、単純計算では1,000万円÷20年で1年につき50万円ずつバランスよく経費として計上できるのです。

減価償却の考え方は、不動産投資において節税対策としてのイメージが強いですが、実際に家やマンションなどは年数をかけて消費していくものですから、理にかなった考え方であるといえます。

耐用年数が定められている理由

減価償却
「購入後、使っていくと思われる年数」は千差万別で、非常に良くメンテナンスされていた物件と放置されていた物件とでは劣化具合に差が出ますし、そもそも使った材質や工法によっても違いは様々です。
こういった個別の事情に応じて、耐用年数を自由に決められるとすると、減価償却を本人の都合に合わせてコントロールできることになってしまい、不公平が生じる可能性があります。

そこで、建物については構造ごとに基準となる耐用年数を国が定めているのです。これを「法定耐用年数」といいます。

家やマンションなど住宅用建物の場合…
軽量鉄骨プレハブ造り(肉厚3mm以下)は19年
木造は22年
軽量鉄骨(肉厚3mm~4mm)は27年
重量鉄骨(肉厚4mm以上。6mm以上を重量鉄骨とする説もある)は34年
鉄筋コンクリートは47年

このように、建てる材料によって耐用年数が決まっています。

耐用年数表は国税庁のホームページで確認することが可能です。

減価償却費の計算法

減価償却費の計算法には、一般的に
1.定額法
2.定率法
の2つがあります。

しかし、現在では建物に関しては定額法しか選ぶことができません(平19年4月1日以後に取得したものは定額法、平成10年4月13日から平成19年3月31日までの間に取得したものは旧定額法、平成10年3月31日以前に取得したものは旧定額法又は旧定率法によることとなっています)。

1.定額法

建物を買った価格に耐用年数に応じた割合(償却率)をかける方法です。
もっと簡単にいうと、買った金額を耐用年数で割った金額です。費用の額はその年数の間ずっと一定です。

2.定率法

まだ経費化にしていない価格に、一定の割合をかけていく方法です。最初費用が大きく、年々減っていく計上の仕方です。

詳しくは 「減価償却費」の項目をご覧ください。

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監修:棚田 健大郎