原価法 [げんかほう]
原価法とは、不動産の評価額を査定する際に用いる評価方法の1つで、特に一戸建ての物件の査定をするための計算方法としてよく用いられます。考え方としては引き算の計算方法です。
まず、売ろうとしている建物が、仮にもう一度新築で建て直したとしたら幾らかかるのかを計算します。
現在の建物の価値は年数が経っている分、老朽化していますから、価格は下がっているはずです。
そこで、新築で建て直す際に必要な費用から、経過年数などに伴う減価額を控除すると、現在の評価額がわかります。
まずは、再調達原価を算出する
先述した、「売ろうとしている建物が、仮にもう一度建て直されたとしたら幾らかかるか」という費用のことを、「再調達原価」といいます。
言い換えると再調達原価とは、今と同じプランで家を建て直す場合に、建築会社に工事を依頼してから実際に引き渡してもらうまでにかかると想定される費用のことです。
材料費・人件費・光熱費などの「直接工事費」と、準備作業の費用・仮設物・会社の利益分などの「間接工事費」、人事や総務など管理費部門で発生した費用である「一般管理費」が含まれます。
再調達原価から減価額を差し引く
再調達減価から、経過年数に伴う減価額を計算して差し引きます。
減額のポイントは以下の4つです。
月日が経って老朽化してきたために価値が下がることです。
物理的な理由での減額を緩和したいなら、普段から外壁の塗装や壁紙の張り替えなど、メンテナンスを怠らないことが肝心です。
(2)機能的な理由
設備自体はまだ使えても、その機能が時代遅れになっている場合にマイナスとなります。
(3)経済的な理由
周りの環境の変化で減額されるケースです。
過疎化、あるいは逆にライバル物件が多くなる、といった理由です。
(4)土地についての理由
土地も合わせて売却する場合は、土地が値下がりした時にも減額されます。
観察減価法とは
上記の4つのポイントを抑え、実際に物件を見て減価額を決めるのが観察減価法です。
事実に近い査定ができます。
耐用年数から減価額を計算する方法
不動産の構造別に決められている耐用年数を用いて、減価額を計算することも可能です。
34年-14年(耐用年数-築年数)=20年(残耐用年数)
20年÷34年(耐用年数に対する残耐用年数の割合、つまり減価率)=0.588
2,000万円×0.588=1,176万円(査定額)
この方法は簡単ですが、実態と差が出る可能性が高いので、しっかりした査定は観察減価法などで行なうのがよいでしょう。
投資物件は利回りが価格に大きく影響する
投資用の物件については、建物の経過年数や状態などを重要視する原価法よりも、利回りの方が大きく影響するケースがあります。
利回りとは、年間家賃収入に対する物件購入価格で計算する指標で、現時点での家賃収入をベースとして、妥当な利回りになるよう逆算して、売却価格を査定することが可能です。
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監修:棚田 健大郎