洗濯機パン [せんたくきぱん]

洗濯機パンとは、洗濯機から水が漏れてしまった際に、床に水が広がらないよう形状が工夫された、洗濯機を置くためのプラスチック製の台です。

別名「防水パン」「洗濯パン」とも呼ばれます。

洗濯機パンの種類

洗濯機パンには、形状によって次のような種類があり、それぞれに特徴があります。

フラットタイプ

真っ平らで凹凸のないタイプの洗濯機パンです。

洗濯機が設置しやすいというメリットがありますが、洗濯機との間に隙間ができないため掃除がしにくいというデメリットがあります。

四隅が高くなっているタイプ

賃貸物件に最も多いタイプで、四隅が高くなって洗濯機と洗濯機パンの間に程度な空間ができるようになっており、掃除がしやすいというメリットがあります。

賃貸物件で洗濯機パンを設置すべき理由

洗濯機パン

漏水時の被害軽減

賃貸物件の2階以上の住戸では、漏水すると階下の部屋へ影響してしまいます。

洗濯機パンを置いていれば、階下に水漏れすることを防げるか、あるいは漏水被害を軽度なものに留められることでしょう。

騒音の抑制効果

賃貸物件であれば、上下左右へ洗濯機の音が漏れないように注意するはずです。

洗濯機パンを敷かず床に直接洗濯機を置けば、洗濯機の動作音は床にダイレクトに響きます。
周囲の住戸には騒音が伝わってしまうでしょう。

洗濯機パンを置くことで洗濯機と床の間にワンクッションできるため、ある程度騒音を抑えることができます。

結露や、排水ホースの劣化による床の傷みを防止する

洗濯機は必ず水を使用するため、季節によってはどうしても結露が起こります。
長年使用していれば、排水ホースにも亀裂が生じたりして、水漏れの要因になりかねません。

このような時に洗濯機パンを置いていないと、床に直接水が流れることになります。

分かりやすい水漏れならすぐに気づけますが、結露のようにじわじわと湿気が溜まっていく状態はそう簡単には分かりません。
気が付いた時には洗濯機周りの床が湿気でボロボロになっていた、という可能性もあります。

洗濯機パンがあれば、床を傷める心配もありません。

洗濯機パンを設置する際の注意

洗濯機パンを新規に設置する際には、注意したいことがあります。

洗濯機パンの規格

第一には、洗濯機パンの規格です。
洗濯機パンの規格によって置ける洗濯機も限定されます。

一般の物件では、部屋の間取りや広さなどから予想される入居者層に合わせて選びます。

ファミリー向け物件なら大きめのものを、ワンルームの物件であれば一般的な大きさのものでよいでしょう。

洗濯機パンの汚れ

また、洗濯機パンには汚れが溜まりやすいという点を入居者に周知しておく必要もあります。

洗濯機パンは掃除しやすい場所ではありません。
知らず知らずのうちにホコリや髪の毛が溜まり、排水口周辺で「ヘドロ」のような状態になってしまうこともあります。
排水口に汚れが溜まってしまうと異臭を発してしまうため、クレームの原因にもなりかねません。

定期的に清掃する必要があることを知らせておけば、無用なクレームを生まずに済むでしょう。

空室の原因が洗濯機パンであることも

賃貸物件では基本的に洗濯機パンがある方が人気ですが、どんな洗濯機パンでもよいというわけではありません。
設置している洗濯機パンの規格があまり的外れなものですと、かえって空室の原因となってしまうこともあります。

特に気をつけなければならないのは、以下の2点です。

2層式洗濯機用の洗濯機パン

古い賃貸物件の場合、洗濯機パンが付いていても当時主流だった2層式洗濯機用の洗濯機パンが設置されていることがあります。

2層式洗濯機用の洗濯機パンは一般的な洗濯機パンが正方形であるのに対し、長方形の形をしているため最近の全自動洗濯機を設置することができないのです。

人によっては工夫して足場を自作して無理やり設置するケースもありますが、水漏れのリスクが高いためおすすめできません。

2層式洗濯機パンのせいで本来決めてくれたはずのチャンスを逃している恐れがありますので、一度ご自身の物件の洗濯機パンの形を確認しておきましょう。

洗濯機パンのサイズが小さい

一般的な洗濯機パンのサイズは、幅64cm×奥行64cmのタイプですが、稀にこのサイズよりも小さい洗濯機パンを設置している物件があります。

洗濯機パンのサイズが小さすぎると、最近の全自動洗濯機のほとんどが設置できなくなってしまうため注意が必要です。

特に住み替えで部屋探しをしているユーザーは、今所有している洗濯機が設置できない物件には引越さない可能性が高いので、洗濯機パンのサイズについては一般的なサイズになっているかどうか必ず確認しておきましょう。

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監修:棚田 健大郎