二重天井 [にじゅうてんじょう]
二重天井とは、上の階のスラブ(構造床)から離して、空間を空けて天井仕上げ材を張る、二重構造の天井のことで、主に鉄筋コンクリート造のマンションなどで用いられる工法です。最近建てられたマンションは、住宅品質確保促進法の施行によって、鉄筋コンクリートの床の厚みについて18~20㎝以上が標準となり、二重天井はその床の厚いコンクリートの下にさらに空間を入れて、天井仕上げ材を張る、手間のかかった造りとなっています。
二重天井に対し、スラブのすぐ下にクロスを張ったり塗装を吹き付けたりしている構造の天井を、直天井(じかてんじょう)と呼びます。
二重天井のメリット
二重天井には主に、3つのメリットがあります。
1.防音性
上の階の床と天井との間に空間ができるので、上の階からの騒音に対して防音性能を発揮します。
ファミリー向けのマンションの場合、子どもが飛んだり跳ねたりする音は下の階の住人にとってはかなりのストレスになります。
以前は太鼓現象といって、中が空洞になっている太鼓が叩かれると響くように上の階の衝撃音がスラブと天井仕上げ材の間で反響し、かえってうるさいという結果になってしまうこともあったようですが、最近の新築物件では、防振ゴムと支持ボルトを使用し防音性に優れた二重天井となっているケースが多いようです。
2.リフォームのしやすさ
二重天井では、トイレや風呂場やキッチンの換気ダクトも電気配線もスラブと天井仕上げ材の間の空間を通せるので、容易に配置換えができます。
ですから、年数が経って家族構成が変わり、それに合わせてリフォームをしたいと思ったときに簡単にリフォームが可能です。
対して直天井の場合は、配線をコンクリートの中に埋め込みますので、後から思うようにリフォームができない可能性があります。
3.見た目の美しさ
直天井は、小梁やダクトのための下がり天井によるコンクリートの凹凸が、そのままむき出しになっています。
無機質でかっこいいと思う人も中にはいるかもしれませんが、一般的にはあまり美しいとはいえません。
一方、二重天井は小梁や配管を天井裏の空間に隠せるため、邪魔なものが見えず、見た目もすっきりします。
二重天井のデメリット
二重天井はメリットのほうが断然多いのですが、デメリットもあります。
それは、「費用がかかる」という点です。
二重天井については、天井スラブとは別に下地と仕上げ材が必要になるため、直天井に比べると大幅にコストと手間がかかることになります。
不動産投資において、騒音問題は大きなネックとなりますが、二重天井にしたからといって、音や振動がまったく聞こえなくなるわけではありません。
コストとのバランスを考えて、検討することが重要です。
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監修:棚田 健大郎