二重窓 [にじゅうまど]

二重窓とは、窓の内側にもう1枚窓を備え付けて二重にした窓のことで、「内窓」とも呼ばれます。
北海道などの寒い地方でよくある造りでしたが、断熱性だけではなく防音性にも優れ、防犯上も有効なため、全国的に広まっていきました。

二重窓のメリット

二重窓には以下のようなメリットがあります。

1.断熱性の高さ

二重窓にすると、隙間風が入りにくくなります。隙間風の入りにくい家(気密性が高い家)は、断熱効果が高まります

ではなぜ二重窓だと気密性が高まるのでしょうか。その仕組みは次の通りです。

壁に入っている断熱材はセーターに例えられるでしょう。そこを隙間風が通ると、セーターの穴から寒い空気が当たって冷える時のように、断熱効果が薄れます。

しかしウィンドブレーカーをセーターの上に着れば風をシャットアウトして中の空気が温まり、セーターの温かさが効果的になるように、二重窓によって気密性が高まれば、断熱材の効果も高まる、というわけです。

2.防音性の高さ

音というのは空気の振動によって伝わります。ですから、空気が伝わりづらい、隙間風の通りにくい二重窓にすれば、結果的に防音性も高まるのです。

3.結露ができにくい

窓が1枚だと、窓の外側には冷たい空気が、窓の内側には温かい空気が触れるため、結露しやすくなります。
しかし二重窓の場合、外の冷たい空気に触れる窓と、中の温かい空気に触れる窓とは分かれていますので、結露しにくくなるのです。
結果として、結露を原因としたカビも発生しづらくなります。

4.防犯性の高さ

空き巣の侵入経路は、3階建て以下の建物では60%ほどが窓からといわれています。警察庁によれば空き巣は常に「どうしたら簡単に侵入できるか」を考えているそうなので、二重窓のように侵入に手間のかかる家はあまり狙わないようです。
もちろん二重窓にすれば100%安全が保障されるというわけではありませんが、防犯性が高いことは間違いないでしょう。

二重窓

二重窓のデメリット

二重窓のデメリットは以下の通りです。

1.コストがかさむ

二重窓へのリフォームは、部材代と工事費での計算で、風呂場やトイレなどの小窓は5~6万円、ベランダのような大窓は10~12万円が相場(物件による)であり、コストがかかります。

2.換気が面倒

換気のために窓を開ける際、二重窓は2回開けなければならず、少々手間がかかります。

3.掃除が面倒

単純に考えて、窓の掃除の手間が二倍になります。

4.居室が狭くなる

ベランダを二重窓にする場合は、その分室内に窓サッシがせり出てくることになるため、居室の面積を圧迫することになります。
居室が比較的広めである物件であれば、そこまで影響はありませんが、6帖のワンルームなどの物件については、二重窓にすることで室内が狭くなることに注意が必要です。

空室対策として二重窓は有効か

二重窓については、コストがかかることを除けば、借主にとってはメリットのほうが大きいといえるでしょう。

そのため、幹線道路沿いや線路沿いなどで騒音が常に発生しやすい立地条件にある物件については、二重窓にすることで室内に伝わる音を大幅に軽減でき、空室対策として一定の効果があるといえます。

また、断熱効果などについても住んでからの住み心地に影響しますので、借主が長期的に借りてくれる可能性も高まります。

ただし、二重窓にしたからといって家賃を値上げできるほどのオプションにはならないため、あくまで空室対策のひとつとして考えたほうがよいでしょう。

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監修:棚田 健大郎