縄伸び・縄縮み [なわのび・なわちぢみ]
縄伸び・縄縮みとは、実際の面積と登記上の面積とが違っている状態を表す言葉です。実測面積が公簿面積(登記簿の面積)よりも大きい状態を縄伸びといい、実測面積が公簿面積よりも小さい状態を縄縮みといいます。
一般的には登記簿の面積は実際の面積であると思われがちですが、実際に計測してみると違っているというケースはよくあります。
公簿面積について
公簿面積とは、法務局で管理されている登記簿謄本の、「地積」の欄に載っている面積のことです。
登記簿の地積については、明治初期に行われた地租改正事業の際に作成された地券台帳が元になっており、当時の未熟な測量技術(正確な測量機器などはなかったため、縄で測っていたといわれています。縄伸び・縄縮みという呼び方はそこからきたと考えられます)によって計測した面積のままになっていることから、実測面積との間にズレが生じることがあります。
公簿面積と実測面積が一致しやすいケース
下記のようなケースでは、本当の面積と登記してある面積とが一致しやすい傾向があります。
- 比較的新しい分譲地で、分譲した時に測量が行なわれている
- 国土調査がなされた
- 土地改良された農地である
- 土地区画整理事業が実施された
縄縮みよりも縄伸びが多い
公簿面積と実測面積を比較すると、縄伸びしているケースが多いという傾向がありますが、その原因は税金(地租・ちそ)の問題によります。
当時の税金は土地の面積をもとにして決められたため、土地の面積を実際より狭い面積で申告し、少しでも税金を少なくしようと試みた人たちが多かったのです。
それがまかり通ってしまった背景としては、実測面積を正しく測る間もなく地租改正事業を早く終わらせなければならなかった、という事情があるといわれています。
正確な面積かどうか知りたいときは
「法14条地図」という、法務局管理下にある地図を見ます。
その中の「分類」という項目が「法14条地図」となっていれば、縄伸びではないと考えられます。
しかしその欄に「地図に準ずる図面」と書いてあり、「種類」の項目に「旧土地台帳付属地図」と記されていたら、縄伸びが疑われます。
縄伸び率について
実測面積が、公簿面積の何割増しになっているのか、という割合を縄伸び率といいます。
例えば、実測面積480㎡で、公簿面積が400㎡であれば、
480㎡÷400㎡
で、答えは1.2です。
つまり縄伸び率は20%あるいは2割増し、となるのです。
不動産売買契約を締結する際の注意点
公簿面積と実測面積に違いが生じると、不動産売買においてトラブルになる可能性が考えられます。
そこで、土地の売買契約については、登記簿の面積を用いて価額を確定する公簿売買と、実測面積を基準に価額を確定する実測売買の2通りのやり方があり、あらかじめどちらの方法によって売買契約を行うのか決定するのです。
公簿売買によって売買契約を締結した場合は、あとで縄伸びや縄縮みが発覚したとしても、取引価額については変更しない旨の取り決めをすることでトラブルを防止します。
測量にかかる手間や費用が軽減できるため、公簿売買になることはよくありますが、縄縮みが発覚しても文句が言えないため、できるだけ現地を確認するなどしておくことをおすすめします。
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監修:棚田 健大郎