景観法 [けいかんほう]

景観法とは、歴史ある街並みや美しい自然などの景観を損なわないよう、指定されたエリアに建物を建てる場合、増改築をする場合、色を塗り換える場合などに適用される、法的な規制のことです。
制定されたのは2004年ですから、比較的新しい法令と言えるかもしれません。

例えば、東京の浅草近辺など、下町場所溢れるような場所に、近未来的な建物がいきなりできたら周囲の景観を損ねることになりますので、そのような事態を防止するために、景観法という法律を制定して、一定の規制をかけているのです。

景観法に関係する用語の説明

景観行政団体

政令指定都市(人口50万人以上で特定の基準を満たした都市)や中核市(人口30万人以上で特定の基準を満たした都市)、その他では都道府県が景観行政団体と呼ばれます。

そこまで大きな自治体ではなくても、景観を守りたい市町村は、都道府県知事の同意が得られれば景観行政団体になることができます。

景観計画区域

景観行政団体によって決められた、今ある良い景観を守ったり新しく良い景観に変えたりするための計画を景観計画といい、その対象となるエリアを景観計画区域といいます。

景観計画区域内に建物を建てたい場合は、景観行政団体の長に届け出ることが必要です。

景観法

景観法を破った場合の罰則

景観法の強制力は弱いほうですが、破った時には違反として罰せられます。

原状回復命令等

景観法に違反して建物を建てたり改築したりした場合、景観行政団体の長により、原状回復あるいは原状回復に代わる必要な措置を取るよう命じられます。

違反建築物に対する措置

地方自治体の長は、景観法に違反している建物にかかる工事の停止命令を出すことができ、また景観法に沿った建物にするべく是正することを命じる権威も持つので、施主はこれに従わねばなりません。

違反建築物の設計者等に関する措置

地方自治体の長は、景観法に違反した建物の件について国土交通大臣または都道府県知事に報告する義務があります。

国土交通大臣または都道府県知事は報告を受けたらすぐに、違反建築物に関係した会社に対して、業務停止処分を下すことができるのです。

業務停止処分は不動産会社や建築会社にとってかなり痛い措置ですので、関係会社は停止処分を避けるべく細心の注意を払うことでしょう。

しかしそもそも、建築計画を自治体の長に提出した時点で、景観法に違反していれば許可が下りませんから、許可が下りなかったことを敢えて無視する悪質な業者でなければ、景観法違反による業務停止処分になることはあまりないでしょう。

景観法を守って優良建築を

景観法は、ほとんどの項目が「建物の各部が周りと調和したデザインや色であること」という規定です。

調和を基にするデザインは美しいので、魅力的な物件づくりにも繋がるでしょう。

あわせて読みたい

八重洲再開発が都市計画決定/地下からの移動も改善

監修:棚田 健大郎