瑕疵担保責任 [かしたんぽせきにん]
瑕疵担保責任とは、不動産の売買において、物件に隠れた欠陥や不具合があったことが後で分かった場合に、売主が負わなければならない責任のことをいいます。瑕疵に含まれるもの
「瑕疵」とは、隠れている欠陥や不具合のことです。
瑕疵に含まれるものは様々ですが、ここでは一部を挙げていきます。
建物だけでなく、敷地内の物置や建物付近の植木などにも注意が必要です。
・雨漏り
天井はもちろんのこと、外壁やサッシの取り付け部分の吹込みから雨漏りがするケースもあります。
・腐食
木部だけでなく、バルコニーの欄干などの鉄部分の腐食や、洗面所・浴室などの水まわりの腐食も含まれます。
・給排水管の故障
濁り、赤さび水、水漏れ、詰まり、管が割れていることなどを含みます。
・事件、自殺
物質的瑕疵にとどまらず、事件や自殺があった物件であるという心理的要因も、瑕疵に含まれます。以前に殺傷事件や自殺のあった家に住むことに、抵抗を感じる人が多いからです。
民法で定められた瑕疵担保責任
瑕疵担保責任は民法第570条で定められており、買主が瑕疵を見つけた場合、発見から1年以内であれば損害賠償責任の追及や、契約解除ができると規定されています。
売主の側からすると、いつか瑕疵が見つかって修理費用を請求されるのではないかという不安が付きまとうことになります。
売る物件が中古住宅ならなおさら不安は募るでしょう。
民法第570条は、売主にとって不利な条項なのです。
ですが、民法第570条は任意規定なので、これとは違う契約を、不動産売買契約書で結ぶことができます。
不動産売買契約時の瑕疵担保責任
売主にとって不利な状況を避けるため、不動産売買契約書を交わす際に、瑕疵担保責任の期間を2~3ヵ月としているケースが多く見受けられます。
また、瑕疵の内容についても、基本となる数種類だけに限り、あとは免責(責任を免除すること)にしているケースも多々あります。
なかには瑕疵担保責任免責といって、瑕疵担保責任を一切負いませんという契約さえも存在します。
これは売主にとって極めて有利なので、購入後に瑕疵があった場合のことを考えて不安に思う買主もいるのです。
そこで、買主は住宅診断を依頼したり、瑕疵担保責任をカバーできる保険に加入してくれるよう売主に掛け合ったりします。
ただし、売主が不動産業者の場合、瑕疵担保責任免責は認められず、最低2年間は瑕疵担保責任を負うことが定められています。
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監修:棚田 健大郎