アスベスト [あすべすと]
アスベストとは、繊維状けい酸塩鉱物で「石綿(いしわた)」とも呼ばれています。耐久性、耐熱性、不燃性及び耐腐食性に優れているという特徴があることから、建築物の耐火被覆材(燃えにくい素材)として、吹付けのアスベストや、屋根や壁、天井などにスレートボード(アスベストを含んだ板状のセメント)が用いられてきました。
アスベスト(石綿)の問題点
空中に飛散したアスベストを長期間にわたって吸引することで、肺がんや中皮腫を発症する発がん性が問題となっています。
現在では、原則としてアスベストの製造・使用等が禁止されています。
露出している吹付けアスベストについては、劣化によって空中に飛散するリスクがあると言われていますが、スレートボードについては繊維が飛散する可能性は低いといわれています。
アスベストの確認方法
アスベストの使用の有無については、不動産売買契約を結ぶ際に行う「重要事項説明」の説明事項になっています。
ただ、アスベストの調査自体が義務付けられているわけではなく、調査をした記録があるかどうかの説明になるため、調査がされていなければわからないというのが実情です。
調査結果がある場合については、以下の内容について説明を受けることができます。
- 調査をした調査会社
- 調査の範囲
- 調査した年月日
- アスベストの使用の有無と使用箇所
不動産投資におけるアスベストの影響
アスベストの使用については、2006年9月から労働安全衛生法施行令によって、使用および製造が禁止されているため、最近の新築物件であれば特段気にする必要はありません。
不動産投資で注意しなければならないのは、中古物件に投資する時です。
アスベスト調査については、未実施である物件が多いため、購入後にアスベストの使用が発覚した場合は、資産価値の低下が気になるところです。
アスベストの使用が確認された場合、採るべき対策は以下のいずれかです。
アスベストの除去
アスベスト材を完全に取り除く方法ですが、場所によっては多額の費用がかかる可能性もあります。
アスベストを封じ込める
アスベストが飛散しないよう、化学物質を表層に散布して封じ込めを行います。ただし、将来的に改修工事などをする際には、やはり除去する必要性が出てきます。
アスベストを囲い込む
アスベストの使用されている部分を覆うことによって、空気中への飛散を食い止めます。
このようにアスベストについては、3つの対処法がありますが、最終的には除去する必要があります。
そのため、アスベスト使用物件については、通常の市場価格からアスベストの除去費用分、資産価値が低下すると言われているのです。
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監修:棚田 健大郎