布基礎 [ぬのきそ]
布基礎とは、逆T字型のコンクリートを地盤にいくつか埋め込んだタイプの基礎のことです。縦に伸びた部分である「基礎梁」と横に広がった部分である「フーチング」による逆T字型のコンクリートを打ち込む技法で、日本の木造建築などでよく用いられます。
直に床を支える基礎梁部分のコンクリートは、壁に沿う形で造られます。
布基礎の特徴
地盤に接する面が少ない布基礎では、建物の重みの負荷が分散されず、部分的に集中して負荷がかかってしまいます。
コストが抑えられるので地盤が固ければよいのですが、軟らかい地盤である場合や建物が重い場合には、安定性や安全性に欠けるため布基礎はおすすめできません。
ですが、布基礎のほうが多く採用されている地域もあります。
例えば、北海道の地域性として、地面が凍りやすい、という特徴があります。
凍ってしまう地面の深さのことを「凍結深度」といい、凍結深度より上に基礎を据えることはできません。凍った地面が盛り上がり、基礎を壊してしまう恐れがあるためです。
ですので、凍結深度よりも下に基礎を据える必要がありますが、深く掘る分、当然ながら費用がかさみます。
幸い、北海道の土地の多くは固い地盤ですから、コストを抑えられる「布基礎」が適している、というわけです。
布基礎の注意点
1.湿気対策が必要
基礎梁の部分以外で土がむき出しになっていると、直に床下に湿気が上がってきてしまいます。
防湿シートと防湿コンクリートを敷いてもらうプランは、布基礎タイプの土台には必須といえるでしょう。
ただし、この時の防湿コンクリートは薄く、防湿シートを抑える程度の役割しかないようで、耐震に役立つレベルまでの強度は持っていません。
2.害虫対策が必要
防湿コンクリートを敷いたとしても、地震などでコンクリートにひびが入るとそこからシロアリなどの害虫が侵入する可能性があります。
防湿シートと防湿コンクリートに、害虫対策の薬を散布してもらいましょう。
布基礎かベタ基礎か
布基礎に対し、コンクリートを全面に流し込み負荷を面で支える技法を「ベタ基礎」といいます。
この2つを比べると、コストは布基礎のほうがよいですが、安定性、施工のしやすさ、防湿・シロアリ対策の点ではベタ基礎が勝ります。
ただし、先ほど北海道の事例でも触れたように、一概にベタ基礎のほうがよいといいきれるものでもありません。
地盤の固さや、その他もろもろの事情を考えあわせて選定されています。
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監修:棚田 健大郎