農地転用 [のうちてんよう]

農地転用とは、農地を耕作以外の目的(住宅、アパート、駐車場など)のために使用することです。

しかし農業従事者が年々減ってきているなかで、国は何とか農地を守りたいと考えているため、農地転用は簡単ではありません。

農地の種類によっては転用が不可能なケースもあります。

また、スムーズに農地転用ができたとしても、転用した後、上手に有効活用できるか否かも今の日本の課題となっているところです。

農地転用が可能な土地・不可能な土地

農地は5つの種類に区分され、それによって転用の可否が分かれます。

もちろん例外的に可能となる場合もあることは確かですが、ほとんどはこの区分で決まるといってもいいでしょう。

農用地区域内農地

農業振興地域整備計画の一環として、市区町村により農用地区域内農地と定められた区域の農地転用は、原則的にできません。

甲種農地

市街化調整区域にある20ヘクタール以上で農業機械が利用できる営農条件のよい農地で、原則として転用はできません。

第一種農地

10ヘクタール以上の条件の良い農地は第一種農地と呼ばれ原則的に転用はできませんが、例外として道路や公共の建物を造る時には転用できる場合があります。

第二種農地

鉄道の駅から500m圏内にあり、将来的な市街化が見込まれたり生産性が低く小規模であったりする農地のことで転用が可能です。

第三種農地

鉄道の駅が300m圏内にあり、市街化の傾向が強い農地のことで転用が可能です。

一般基準

第二種農地や第三種農地であれば、どんな転用も可能かといえば、そうではありません。
もう1つの基準である一般基準にかなっている必要性があります。

一般基準とは次の3つです。

1.申請通りの用途に転用することが確実である
2.周辺の農地の営農条件に支障が生じる恐れがない
3.一時的な利用のための転用であれば、利用後にその土地が耕作目的に利用されることが確実であること

これら以外にも、都道府県によって独自の基準を設定しているケースもあります。

転用後の土地活用における課題

農地転用

農地を転用して土地活用する際には、次のような点について事前によく理解しておくことが重要です。

駐車場

農地を更地にするだけなので初期費用は安く済みますが、固定資産税が農地の数百倍するケースもあります。
周辺区域で駐車場の需要がないなら、税金で赤字になってしまうので考え直したほうがよいでしょう。

アパート経営

農地を宅地にして集合住宅を建てるのも、賢く運用すればメリットにつながります。

しかし、サブリースと呼ばれる方式の「業者にお任せプラン」でトラブルが多発しています。
メンテナンス費用を過度に要求されることも多いので、契約時にしっかりと疑問点を解消しておくことが大切です。

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監修:棚田 健大郎