建築確認 [けんちくかくにん]
建築確認とは、建築物を建築または増改築する際に、法令に違反した建築計画でないかどうかを審査することです。建築確認を申請するのは建物を建てる建築主で、申請が通ると「確認済証」の交付が受けられます。確認済証がないと着工できません。
建築主には工事が終わった際に検査を受ける義務や、場合によっては工事の途中で中間検査を受ける義務があります。
また、建てている最中に建築物が法令に違反していると分かった場合には、工事中止命令が出されることもあります。
建築確認によって確認済証の交付を受けるためには、設計に建築士が携わっていなければならず、建築士の資格を持つ工事監理者がいなければなりません。
建物にまつわる法令
建築確認に関係する、遵守すべき主な法令は以下の通りです。
都市計画法
住宅を建ててもよいエリアかどうかや、建ぺい率や容積率の基準などについて規定している法律です。
宅地造成規制法
宅地の増税に関する工事などについて必要な規制を行う法律です。
建築基準法
建物の構造や用途、設備、耐震性などについての、最低基準を定めた法律です。
これらは建築基準法の中でも、都市計画法に関係する集団規定に対して、単体規定と呼ばれる分野の規制です。
消防法
戸建てではあまり関わりませんが、マンションなどでは様々な規定があります。
建築確認の検査項目
建築確認には、建築基準法の集団規定と単体規定とが関係します。
集団規定とは、都市計画法に基づき、そのエリアに建てても良い種類の建物か、容積率・建ぺい率・斜線の関係はオーバーしていないか、道路に接した敷地か、建物の防火の関係はどうか、などを定める法律のことです。
【集団規定の具体例】
- 用途規制
- 絶対高さ制限、日影規制、斜線制限
- 容積率、建ぺい率
- 接道義務、セットバック
- 排水に関する規定
- 景観に関する規定
集団規定は周りの環境との調和を重視するので、いわゆる「人様にご迷惑をおかけする造りではないかどうか」という観点から審査されます。
それに対して単体規定とは、建物そのものの耐久性、耐震性、換気の具合などについて定めた法律のことです。
建築確認では、集団規定に重きが置かれて審査される傾向にあります。
建築確認申請から工事完了までの流れ
建物を建てたい人は、工事を始める前に建築主事に建築確認をしてもらうための申請をし、審査が終わったら「確認済証」の交付を受けた上で着工します。
工事が終わったら4日以内に建築主事に完了検査申請を行い、建築物が法令に反していないかどうかの完了検査を受けなければなりません。
検査の結果、法令に適合していることが確認されると「検査済証」が発行されます。
物件を購入する際には、検査済証を必ず確認しましょう
購入する物件が法令に適合している適法な建築物であるかどうかは、非常に重要な要素です。
通常、検査済証については売買契約に先立って行われる重要事項説明の際に提示されますので、必ず確認するようにしましょう。
また、古い物件の場合は売主が検査済証を紛失しているケースもあります。
そのような場合は、役所の建築指導課などで発行を受けられる「記載事項証明書(確認台帳記載証明書)」で検査済証の交付年月日や検査済証の番号を確認することが可能です。
建築確認のうえ、検査済証の交付を受けていない建築物については、金融機関から融資を受けられない可能性が高いため注意しましょう。
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監修:棚田 健大郎