賃料 [ちんりょう]
賃料は、賃貸借契約によって賃借人が賃貸人の物を使用することに対する対価です。賃貸物件の場合は「家賃」と呼ばれるものが賃料に相当しますが、物件によっては家賃と管理費を含めた、月額の支払総額のことを賃料と表現することもあります。
通常、賃料は1ヵ月ごとに金額が定められており、翌月分の賃料を前月中に支払うなどの「前家賃制」が一般的です。
事業用物件の賃料は消費税の課税対象ですが、居住用物件の賃料は非課税となります。
賃料設定の仕方
賃料は、地域ごとにおおよその相場があります。
傾向としては、都心部や市街地など、固定資産税の額が高い地域ほど高額になるでしょう。
それに加えて、建物の立地条件や築年数、階層、設備なども重要なポイントです。
賃料の相場は、インターネットで賃貸情報サイトを確認するだけでもある程度把握できますし、不動産業者に問い合わせても知ることができます。
基本的には、近隣地域の賃料相場をベースとし、そこから立地条件や築年数などの点を足し引きするようなイメージで賃料を設定することができるでしょう。
賃料の値上げは可能か
賃料の値上げは可能ですが、簡単にはできません。
基本的には、以下のような状況が認められなければ、現実的には難しいのが実情です。
- 固定資産税や都市計画税など、貸主の税金面での負担が増大した
- 近隣地域の地価が高騰したことにより、物件の現在の賃料が不適当に安価となった
このような事実に加えて、契約書に「賃料の値上げはしない」などの条項を記載していないことが条件です。
実際に賃料をどれほど値上げできるかについては、不動産会社や不動産鑑定士などの専門家の意見を仰ぐ必要があります。
建物の状態や利便性、日当たりや風通しなどを総合的に検討した上で、現実的な値上げ幅が算定されることでしょう。
なお、値上げが妥当と思われる場合であっても、貸主の独断で値上げができるわけではありません。
入居者が反発すれば、合意を目指して話し合う必要が生じます。
話し合いがまとまらないなら、最終的には法的な争いとなるでしょう。
注意したい点は、法的手続きに移行してしまうと入居者との関係は相当険悪なものになる、ということです。それまでの関係が良好であったとしても、おそらく二度と修復はできないでしょう。最悪の場合、退去されてしまうかもしれません。
値上げのための法的手続きに着手する前に、このようなリスクを冒しても値上げをしなければならない状況かどうか、よく考えて行動するとよいでしょう。
賃料滞納の対処法
賃料滞納は、不動産投資におけるリスクの1つです。
不動産投資家の中には、賃料滞納が発生しても、管理会社が督促してくれるから大丈夫、と考えている人もいるようですが、実際はそうではありません。
確かに、管理会社は賃料の支払が遅れれば、借主に対して督促の連絡は入れてくれますが、本格的に取り立てて回収までしてくれるのかというと、決してそうではないのです。
というのも、賃料回収については、債権者である貸主本人を除くと、弁護士など特定の人しか行うことができない行為なので、管理会社では対応できません。
そのため、賃料滞納が発生した際には、管理会社任せにせずに、自分自身で積極的に滞納者に連絡して対処するようにしましょう。
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監修:棚田 健大郎