不動産投資コラム

民泊によくあるトラブルと対応策

2018/12/12
司法書士宮﨑 辰也
民泊によくあるトラブルと対応策

3回目の今回は、円滑に民泊投資をおこなえるように民泊によくあるトラブルと、その対応策について説明いたします。

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民泊の宿泊客とのトラブル

民泊を運営している側は、旅館やホテルを経営しているプロではなく、民泊のような宿泊施設を提供することが初めての方がほとんどです。
そのため、宿泊客が民泊施設を利用することで起こりうる問題を、事前に想定しておくことが大切になります。

(1)備品の破損や持ち帰り

お部屋のインテリアとして置かれている備品、照明器具や食器類などが破損されてしまうケースが想定されます。
また、お部屋に常備されているバスタオルなどのタオル類を持ち帰られてしまうこともあります。このような備品を毎回補充するようなことになれば、想定以上にホスト側の出費が増えてしまいます。

(2)ゲストが迷子になる

不動産のオーナーが民泊の経営を始めるにあたり、その施設として利用するお部屋のことを考えてみてください。旅館やホテルのような目印があるわけではありません。
また、住宅街の中に位置している場合やマンションの一室を利用する場合も多いと思われます。そのため、宿泊客がなかなか目的地に着くことができずに、到着が遅れてしまうというトラブルも起こりやすくなってしまいます。

(3)虚偽申告

民泊施設の利用料を決める際には、利用人数や宿泊日数が基準になるかと思います。
この際、オーナー側とゲスト側が直接会うことなく鍵等の受け渡しを行うとすれば、宿泊の実態を確認することができず、事前に申告を受けた人数より多い人数が宿泊するなど申込内容に虚偽があることも考えられます。

(4)犯罪の温床になる可能性

多くの民泊が、ご自身の居住空間とは別の個所に位置する部屋を利用することになります。
つまり、民泊施設のオーナーが、どのように利用されているのか部屋の中を把握することができなくなります。
そのため、外の目が届かいないため、密室空間がさまざまな犯罪に利用されてしまう可能性があります。実際に、民泊として貸し出している部屋で、宿泊者が犯罪を行っていたとする問題も起こっています。

近隣住民とのトラブル

次に、民泊施設を運営する場合には、宿泊者と近隣住民との間でトラブルになってしまうことも考えられます。
そして、一軒家よりもマンションの一部屋を民泊施設として利用する場合の方が、トラブルが起きやすくなります。

(1)騒音トラブル

民泊はホテルのような施設を利用するわけではなく、通常の一軒家やマンションの空き部屋を利用する場合が多いと思われます。
この場合には、十分な防音工事や対策がされていないことがほとんどです。
そして、このような部屋の中で夜遅くまでパーティが行われていたり、マンションの共用部分で大声で話をしていたりして、近隣の住民とトラブルになってしまいます。

(2)ごみ問題

日本においてごみを出すときには、ごみの種類によって収集日が違っていたり、細かくごみを仕分けしなければならないなど、世界的にみても厳しくルールが決まっています。
同じ日本人ですら、引っ越しなどで住む場所が変われば、地域によってごみの出し方も変わるため、戸惑ってしまうことも多々あります。
そして、宿泊者がそのようなルールを知らずに、仕分けをせずにごみを出してしまったり、曜日を間違ってごみを出してしまい、近隣住民に迷惑を掛けてしまうこともあります。

(3)セキュリティ問題

特に最近のマンションでは、オートロックが完備されている物件が多くあります。そして、住民もそのようなセキュリティに安心しているところ、不特定多数の外国人が自由に出入りすれば住民の不安が募り、苦情が寄せられてしまうことにもなりかねません。

(4)民泊禁止のマンション

旅館業の許可や民泊新法の届出により民泊を開始することができるようになったとしても、利用する予定のマンションの管理規約により民泊運営が禁止されている場合は、民泊を行うことができなくなります。
そのため、マンションを利用して民泊を行う場合には、事前に必ず管理規約を確認しておきましょう。

トラブルの対応策

民泊のトラブルと対応策
民泊はホテルのような専門の施設を利用するわけではなく、日常の生活の中で行われるものですので、民泊施設を運営していくことにより、宿泊客や近隣住民との間にトラブルが発生してしまう可能性が大いにあります。一切トラブルを起こさずに民泊を続けることは難しいでしょう。

そのため、トラブルが起きてからではなく、民泊を始める前にできる限り対策を取っておくことが必要になります。

民泊を開始する前に近隣住民に説明をして理解を得ておく

せっかく民泊を開始しても近隣住民からの苦情が多く、やむなく撤退してしまったケースも多々あります。
近隣住民の理解が得られれば、宿泊するゲストにも安心感を与えることができます。

民泊の施設を貸し出す前に、利用者に部屋や施設の利用方法を明示しておく

これぐらいは知っているだろうと思うことであっても、実際に利用するのは文化が全く違う外国人です。
特に外国語で、宿泊者がいつでも利用方法を確認できるようにしておくことが必要です。
ごみ問題に関しても、部屋の利用後に、管理者が部屋の中や外を確認し、綺麗に利用されているか、ごみが分別されているかを確認するだけも問題を防ぐことができます。

苦情が入ったときにすぐに対処できる管理体制を整備しておく

一般の方が、常に宿泊施設を管理することが難しい場合もあります。その時には、管理業者を利用するなどの対策も必要です。

このように、事前に起こりうる問題を想定して対策を取っておけば、防げる問題もあります。
これから、全国の各地域で民泊が盛んに行われることが想定されますので、もちろんそこにはビジネスチャンスもありますが、せっかく始めた民泊経営もトラブルにより撤退しなければならない状況になってしまうのは、非常に勿体ないです。
そうならないように、トラブルが起こった時にすぐに対処できるよう今のうちにさまざまな情報を集め、民泊経営を行っていってください。

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宮﨑 辰也

司法書士

宮﨑 辰也

司法書士

平成28年、フロンティア司法書士事務所を開設。不動産に関する登記から家族信託、相続手続き、会社登記に至るまで幅広い分野に迅速丁寧に対応。

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