請負契約 [うけおいけいやく]
請負契約とは、注文する人が目的物を依頼し、請け負った人や会社が目的物を引き渡し、目的物の引き渡しの時点で報酬が支払われる仕組みの契約のことです。不動産業界においては、建物の建築を依頼する際に用いられます。
労務ではなく結果に対する報酬
請負契約の報酬は、労務の供給にではなく、目的となるものの引き渡しや目的となることの達成に対して支払われる性質のため、引き渡し時や達成時に払われるのが一般的です。
土木建築業の請負の場合、工事の名前、工事の場所、工事の時期、請負報酬などを明確に記載した工事請負契約書を作成し、詳細を明記した契約約款や設計図書、見積書なども揃えることが一般的です。
建築請負契約を締結する際の注意点
注文住宅やアパート、マンションの建築請負契約を締結する場合は、後のトラブルを防止するため、次の点について事前によく確認する必要があります。
仕様について
建築を依頼する物件の詳細な仕様について取り決めがされていないと、契約を締結した後に建築会社の都合で仕様が変更になってしまう可能性があります。
工事完了日、引渡し日
建築工事については、しばしば遅れが生じることがあるため、請負契約の段階で引渡し日が明確に示されていないとトラブルになります。
マイホームで引越会社を先に手配する場合や、賃貸物件で繁忙期に合わせて完成をさせたい場合については、必ず引渡し日の確認が必要です。
代金の支払方法
建築請負契約の場合、代金については、施工が進むと同時に一定割合ごとに支払っていく方法が一般的です。
例えば、契約時、着工時、棟上時、引渡時と数回に分けて代金を支払っていくため、どの段階でいくらの代金の支払いが必要になるのか、事前によく確認する必要があります。
請負契約に関する民法の規定について
民法では、請負契約当事者のトラブルを防いだり解決したりするために、以下のことを定めています。
請負契約の報酬
請負契約の報酬は、目的物の引き換えと同時に支払わなければいけません。
引き渡した目的物が劣っていたり違っていたりした場合
引き渡した目的物が契約したものより劣っていたり違っていたりした場合、依頼した人は、
・追完請求(直すよう要求すること)
・報酬減額請求(報酬を安くするよう要求すること)
・損害賠償請求(違法によって損害が生じたときに、その損害を埋め合わせるよう要求すること)
・契約の解除
などができます。
ただし、依頼者が与えた指示によって生じた不適合は除きます。
なにがしかの請求をする場合の期限
契約したものと違っていたことを理由になにがしかの請求をするときには、原則、不適合を知ってから1年のうちにその事実を告げなければいけません。
契約解除
請負人が仕事を完成しないうちは、注文した人は損害賠償をすれば、いつでも契約を解除できます。
委任契約との違い
委任契約は仕事の結果ではなく、過程に対して報酬が支払われます。
例えば、賃貸管理契約については管理を委託する契約なので、管理することに対して報酬を支払いますが、建築請負契約の場合は建築することではなく、注文した建築物を完成させ引き渡すことに対して報酬を支払います。
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監修:棚田 健大郎