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高齢者向け居住、バリアフリー基準や申請の緩和へ

2020/02/16
インベストオンライン編集部
高齢者向け居住、バリアフリー基準や申請の緩和へ

国土交通省は高齢者が死亡するまで同じ賃貸住宅に住むことができる、「終身建物賃貸借事業」の内容を見直し、既存の建物を活用する場合のバリアフリー基準の緩和や、申請書類を8種類から3種類に減らすなど、提供住宅数の増加をはかるための改正を9月10日に発表しました。
この制度を活用してセーフティネット住宅※ に登録される物件数の増加も期待しているとのことです。

※住宅セーフティネット法(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律)に基づき都道府県等に登録された、高齢者、低額所得者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅

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「終身建物賃貸借事業」とは

高齢者単身・夫婦世帯等が、終身にわたり安心して賃貸住宅に居住できる仕組みとして、賃貸人が、知事の認可を受けた 場合に、借家人が生きている限り存続し、死亡した時に終了する(相続性を排除)、借家人本人一代限りの借家契約により、 高齢者に対して住宅を賃貸する事業を行うことができる制度。
終身建物賃貸借事業

賃借人の死亡時まで賃貸借が存続するため、賃借人にとっては、住み慣れた家に死ぬまで居住できるということ以外にも以下のメリットがあります。

入居者(賃借人)のメリット

① 賃貸人(認可事業者)からの解約の申入れ事由が限定されている
② 1年以内の定期建物賃貸借により仮入居が可能
③ 死亡した賃借人と同居していた配偶者又は60歳以上の親族は継続居住が可能
④ 前払金の保全措置がとられている など

大家(貸借人)のメリット

① 無用な借家契約の長期化を避けることができる
② 残置物の処理等を円滑に行うことができる
③ 相続人への明渡し請求に伴う立退料を請求されるおそれがない など

しかし、「終身建物賃貸借事業」の認知が低く、また認可事業者となるための手続きの負担が大きく、約95%がサービス付き高齢者向け住宅での導入となっていました。

今回の制度の緩和で、一般の賃貸住宅での活用を促進し、対象となる住宅を増やすことを目的としています。

終身建物賃貸借の面積・バリアフリー基準の緩和について

面積やバリアフリー基準の緩和の内容は以下です。

  • セーフティネット住宅における終身建物賃貸借の活用が促進されるよう、セーフティネット住宅と同様に9㎡シェアハウス型についても可能とする。
  • 既存住宅の場合は、既にバリアフリー基準の緩和がされているが、更に緩和し手すりの設置のみで足りることとする。
  • 高齢者居住安定確保計画による強化または緩和可能な対象は床面積だけであったが、設備・バリアフリー基準も強化または緩和可能とする。

終身建物賃貸借の面積・バリアフリー基準の緩和について
国土交通省 終身建物賃貸借事業の申請手続の簡素化及び基準の緩和

終身建物賃貸借の申請に係る添付書類の緩和について

申請時に必要だった添付書類を3種類に減らし、また、終身建物賃貸借の認可申請の様式については、セーフティネット住宅の登録申請様式と可能な限り統一することにより、両者の登録を促進しています。

終身建物賃貸借の申請に係る添付書類の緩和について

国土交通省 終身建物賃貸借事業の申請手続の簡素化及び基準の緩和

サービス付き高齢者向け住宅から一般の賃貸住宅へ

「終身建物賃貸借事業」は平成13年に創設され、これまでの認可実績は、約1万戸(平成28年度末時点)となっていますが、サービス付き高齢者向け住宅 がほとんどでした。
サービス付き高齢者向け住宅は設備やサービスが充実しているために月額費用などが高くなる傾向があります。

今回の改正で一般の賃貸住宅の認可住宅が増え、安価な住居が高齢者に提供されることに期待が寄せられています。

少子高齢化が進む日本で、単身の高齢者も増加しており賃貸物件の需要は高まっています。年金という定期収入がある入居者、高齢者に向けた賃貸経営を検討してみてはいかがでしょうか。

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