不動産投資コラム

「民泊新法」の設立背景と違法民泊について

2018/12/12
司法書士宮﨑 辰也
「民泊新法」の設立背景と違法民泊について

平成30年6月15日に、民泊に関する新しい法律である、「住宅宿泊事業法」がいよいよ施行されます。
今回から3回にわたり、民泊がどのように変わるのか、設立の背景と、民泊運営者が求められる対応について解説いたします。

今回は「住宅宿泊事業法」設立の背景と、“違法民泊”とはどのような状態なのかを解説いたします。

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新法成立の背景…①訪日外国人の増加

民泊に関する新しい法律である「住宅宿泊事業法」が6月15日に施行されますが、これまで民泊に関する法律がなかったと言えばそうではありません。
旅館業法による許可民泊特区による認定がなければ民泊運営を行うことできませんでした。

しかし、2013年から現在に至るまで、日本を訪れる外国人が国の施策もあり、毎年増加傾向にあります。
また、2020年には東京オリンピックもあり、今後も訪日外国人が増加していくものと想定されます。

新法成立の背景…②宿泊施設の不足

ここで問題となるのが、観光客に対する宿泊施設の不足です。
特に外国人に人気の観光地や首都圏では、旅行者を受け入れる宿泊施設の不足が以前から問題視されてきており、日本にあるホテルや旅館など既存の宿泊施設だけでは、訪日外国人観光客の受け入れに対応出来なくなってきてしまいした。
そんななか、このホテル・旅館などの宿泊施設不足を補うために生まれたのが「民泊」です。

民泊の運営を行うためには、「旅館業法の許可」もしくは「民泊特区による認定」が必要でした。
しかし、申請にかかる手間と申請に必要な設備等を整えることが一般の方にとっては、なかなか厳しいものでした。
そのため、無許可で民泊の営業を行う、いわゆる違法民泊が急激に増え、それに伴い貸主・借主の間や近隣住民とのトラブルも増加していました。
そこで、新たにできたのが今回の「住宅宿泊事業法」です。

旅館業法 特区民泊 住宅宿泊事業法
エリア 全国 指定特区のみ 全国
営業上限日数 なし なし 180日
宿泊日数制限 なし 2泊以上 なし

民泊新法の施行により、新たな届出制度を設け、民泊ホストの義務を明確化し、民泊ホストに代わって民泊物件を管理する住宅宿泊管理業者や民泊サイトを運営する住宅宿泊仲介業者にも登録が義務付けられています。

この民泊新法によって、日本の民泊事業を安心・安全なものにして、民泊が全国的に普及されることを目的としています。

違法民泊とは、手続きをしていない無許可の民泊

民泊を運営するためには、以下のいずれかの手続きを経ていないと違法になります。

  • 「旅館業法」に基づく許可を受ける
  • 「特区民泊」に基づく認定を受ける
  • 「住宅宿泊事業法」に基づく届出申請

しかも首都圏では、マンションの一室を物件のオーナーや管理会社に無断で民泊として貸し出しているところもあります。

違法民泊は、利益優先の場合が多いため、十分な部屋の清掃がなされていないことや備品が整備されていないことがあります。
また、近隣住民への説明もなく民泊が行われているため、騒音や不特定多数の外国人が出入りするため、トラブルも頻繁に発生します。

特に、マンションの場合は、民泊新法による届出を行っているとしても、マンションの管理規約の中で民泊使用を禁止されている場合には、所有の部屋を民泊として利用することはできません。

民泊仲介サイトは違法民泊を排除へ

民泊仲介サイトでは、簡易宿泊所や特区民泊の許可を受けた物件はもちろんですが、そのような許可を受けていない物件までも掲載しているサイトがあります。

観光庁は、健全な民泊サービス提供のため、民泊新法の施行後に民泊仲介サイトで違法な民泊サービスを提供している物件が掲載されている場合には、民泊サイトの運営事業者宛に違法民泊物件の宿泊予約取り消しや許可や届出をしている適法民泊への予約変更を求める通知をおくるとしています。

次回はその民泊サイトの運営事業者への通知の詳細や、今後の民泊戦略について説明いたします。

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宮﨑 辰也

司法書士

宮﨑 辰也

司法書士

平成28年、フロンティア司法書士事務所を開設。不動産に関する登記から家族信託、相続手続き、会社登記に至るまで幅広い分野に迅速丁寧に対応。

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