不動産投資コラム

不動産投資に必要?大家さんの火災保険[前編]

2018/06/19
行政書士棚田 健大郎
不動産投資に必要?大家さんの火災保険[前編]

賃貸物件のオーナーになって、いよいよ入居者募集!といきたいところですが、その前に必ず「火災保険」について確認しておく必要があります。

そもそも火災保険に入る必要があるのか、入居者が入る保険とオーナーが入る保険は何が違うのか。知らずに賃貸経営をしていると、万が一のときに思わぬ出費を余儀なくされる恐れがあります。

そこで今回は、火災保険の範囲や相場、オーナーが入る火災保険と入居者が入る火災保険の違いなどについて解説していきます。

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1.オーナーとして必ず火災保険に入る必要があるワケではない

基本的なことですが、賃貸契約をするにあたって、必ず火災保険に入らなければならないという法的な義務はありません

原則的には、火災保険は火災などのさまざまなリスクから自分自身を守るために加入するものなので、誰かに強制されて入るものではなく、自分自身でよく考えて入るかどうかを検討する必要があります。

ただ、賃貸募集をする際には、多くの物件で火災保険への加入を「義務化」している傾向にあります。オーナーと入居者で火災保険の性質が大きく異なることによるのですが、これについては後ほど「入居者が入る火災保険は2種類の組み合わせ」で詳しく解説します。

2.オーナーが入る火災保険は「建物」に対するもの

オーナーが入る火災保険とは、保険会社によって細かな補償範囲の違いはありますが、一言でいうと「建物」に対する保険です。火災で建物が燃えた場合に、その復旧をするために必要な費用の保険金がおります。

例えば、以下のような費用が保険金でまかなわれます。

  • 壁紙の張り替え費用
  • フローリング張り替え費用
  • 備え付けのエアコン交換費用
  • 給湯器交換費用
  • キッチン交換費用
  • トイレ交換費用
  • 電気設備工事費用

このように、火災などに起因して損傷してしまった室内設備や建物設備について、保険金がおります。保険金の算定基準は、同等のものを再調達することを前提とした「再調達原価」となります。

また、水漏れや雨漏りなどによる被害についても、同じく保険金の対象となりますが、地震については別途地震保険への加入が必要となります。

火災保険料は建物の構造や床面積によって異なります
鉄筋コンクリートなど燃えにくい構造の建物については、比較的保険料が低く(ワンルームの区分マンションなら年間で1万円程度)、木造の場合は高くなる傾向(年間で数万円〜10万円程度)があります。

3.入居者が入る火災保険は2種類の組み合わせ

入居者が入る火災保険
賃貸物件の入居者が加入する火災保険は、入居者の家財を補償する「家財保険」大家さんに対する賠償責任を保証する「借家人賠償保険」の2種類が組み合わさっているものが一般的です。

3-1.入居者の家財を補償する【家財保険】

火災や水漏れ、雨漏りなどによって入居者が持ち込んだ家財道具が損傷した場合に保険金がおります。火災保険料は限度額によって異なります。ワンルームで一人暮らしをするケースを想定すると、限度額350万円で2年間で2万円前後が一般的です。

3-2.大家さんに対する賠償責任を保証する【借家人賠償保険】

万が一自分のせいで火災を起こしてしまい、その結果大家さんに対して損害を与えてしまった場合に、損害賠償金相当額が保険金としております。保険で補償される範囲は、オーナーが入る保険と同じですが、算定基準はオーナーが入る火災保険の「再調達原価」ではなく、「時価」をもとに算定した金額となります。

一般的に入居者に火災保険への加入が義務化されているのは、この借家人賠償がついているからです。借家人賠償保険に加入していない状態で、万が一入居者が火事を起こしてしまうと、オーナーに対して実費で賠償しなければなりません。

ただ、現実的に考えて入居者が賠償できる金額ではないでしょう。
そこで、その責任を担保するために、入居者の火災保険への加入を入居の条件とすることで、実質的に加入を義務化しているのです。

後編では、火災保険に入った場合のメリットや地震保険について、おすすめの火災保険の選び方などについて解説いたします。

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棚田 健大郎

行政書士

棚田 健大郎

行政書士

大手人材派遣会社、不動産関連上場会社でのトップセールスマン・管理職を経て独立。棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

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