不動産投資コラム

不動産を高く売却するための3つのコツ

税理士・司法書士渡邊 浩滋
不動産を高く売却するための3つのコツ

不動産投資において出口戦略を考えることはとても大事です。
高く売却できることが不動産投資の成功を左右すると言っても過言ではないのです。

では、どうすれば高く売却できるのでしょうか?
不動産を高く売却するためには、市場というものが大きく影響します。
しかし、市場というものは、良いときもあれば、悪いときもあります。

運任せでは、投資自体も運任せになってしまいます。
これでは、投資ではなく、投機です。売却についても戦略的に考えなければなりません。

高く売却するためには、3つのコツがあります。

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1.タイミングで判断する

高く売れる時期(タイミング)を見極めることが大事になります。
不動産が高く売れる時期というのは、需要と供給のバランスによるのです。

供給よりも需要の方が多い場合(需要 > 供給)価格は上がります。
需要よりも供給の方が多い場合(需要 < 供給)価格は下がります。

当たり前といえば、その通りなのですが、不動産の場合、少し状況が変わってきます。

それは、「需要は、融資に大きく影響する」ということです。

つまり、金融機関の融資が出やすいと、購入希望者が増え、需要が高まることになります。
金融機関の融資が出にくくなると、購入希望者が少なくなり、需要が低くなります。

不動産の需要は、融資と連動しているのです。
ですから、各金融機関の情勢を見ることが、不動産市場の動向を掴みやすいのです。

不動産市場動向

2.管理状況、物件状況で判断する

不動産は個別性が強いため、市場の動向だけではなく、その不動産の状況によって価格が左右されることがあります。
それは「賃料収入」「修繕」です。

賃料収入

賃貸不動産は利回り計算で売買金額が決まることが多いです。
購入者は、その投資に対する期待利回りがどのくらいかで、支出の判断をするためです。

例えば、家賃収入が年間500万円得られる物件の場合、期待利回り8%と設定すると(期待利回りは、地域、立地、築年数などにより異なります)、

500万円÷8%=6,250万円となります。

しかし、この物件の家賃収入が年間450万円だったらどうなるでしょうか。

450万円÷8%=5,625万円となります。

家賃が年間50万円違うだけで、売却金額が625万円異なることになるのです。
いかに家賃を下落させないか、満室稼働させるか、が大事になってきます。

家賃を下落させないために、最新の設備を導入することは必要です。
しかし、その前に見直してもらいたいのが、物件の管理状況です。

「分譲マンションは管理を買え」とも言われるくらい、管理が行き届いているかどうかはとても重要です。

エントランス

賃貸物件も同じです。
エントランスにゴミが落ちていたり、放置自転車があると、とても印象が悪いです。
そんな賃貸物件に入居したいと思いますか?

エントランスの清掃が行き届いている、キレイで明るい印象の方が入居しやすいのです。

部屋の設備を良くしても入居が決まらないことがあります。
しかし、設備を導入しなくても、エントランスをキレイにしたことで入居が決まることがあります
まずは、物件の管理を徹底する。物件の第一印象は何よりも大事なのです。

修繕

外壁の塗り替えや防水工事などの大規模修繕がされてないと物件価額は下がる傾向にあります。
買い手とすれば、購入した後に大きな修繕が必要であれば、それを見込まないといけないのです。

例えば、修繕せずに6,250万円で売り出した場合に修繕費1,000万円かかると見込まれ、5,250万円で指値が入る可能性があります。

6,250万円-1,000万円=5,250万円

これを修繕費500万円かけて大規模修繕することで6,250万円+アルファで売却できる可能性があります。

つまり、買い手にとっては、修繕費がどれくらいかかるか不透明だからこそリスクと感じ、価額が下がるのです。
なお、投資用語としてのリスクは「不確実性」を指します。
それであれば、不確実性を排除してあげればよいことになります。
修繕費を見える化(リスク解消)することで価額は下がらなくなるのです。

修繕が今必要でなくても、今後見込まれる修繕費の金額を専門家に算出してもらうことも有効かと考えます。

修繕費算出

3.売却した手残りで判断する

売買をするかしないかは、感情が大きくかかわってきます。
とくに「税金で損をしたくない」という感情に左右されやすいです。

個人が売却する場合、長期譲渡(5年超保有)か短期譲渡(5年以下保有)かで譲渡税の税率が異なります

「短期譲渡になるから売却できない」と思い込んでいる人が多いのです。
私は短期譲渡でも、高く売却できて手残りが多く残るのであれば、売却するべきと考えます。
税金にとらわれてタイミングを失った人を何人も見てきました。

売却の手残りは、

【売却金額-借入金残債-売却諸費用-税金=手残り】

で計算します。

余計な感情に振り回されないように、手残りが最大になるタイミングを見計らって売却するようにしましょう。

4.まとめ

  • 不動産市場は融資動向に影響を受けやすい!
  • 不動産価格は家賃と修繕に影響を受けやすい!
  • 感情に左右されて、売却のタイミングを見失わないようすること!

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渡邊 浩滋

税理士・司法書士

渡邊 浩滋

税理士・司法書士

経営難だった実家のアパート経営を大きく改善し、大家さん専門の税理士事務所を設立。北海道から沖縄まで幅広く相談を受ける。セミナー、出版、連載など多方面で活躍。専門税理士ネットワーク『knees』メンバー。

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